Facebookでユーザーとコミュニケーションを取る方法は、コメント欄でのやり取りのほかにメッセンジャーを使ったやり取りのふた通りあります。コメント欄は公開された場所でのやり取りとなりますが、メッセンジャーは基本的に1対1のやり取りのため、より密なコミュニケーションが取れる反面、どうしても手間がかかってしまいます。
そこでできる限り効率的な方法として、おすすめなのがFacebookメッセンジャーボットです。今回は実際の事例を元に効果的なメッセンジャーボットの活用方法をご紹介します。
※更新履歴
2017年12月11日:メッセンジャボットの作成方法を加筆しました。
- ■目次
- Facebookメッセンジャーのボットとは?
- Facebookメッセンジャーボットを活用するメリット
- Facebookメッセンジャーボットを作成する方法
- Facebookメッセンジャーボットの事例
- 補足:メッセンジャー関連広告について
- まとめ
Facebookメッセンジャーのボットとは?
Facebookメッセンジャーとは
Facebookメッセンジャーボットとはどういったものなのか? そのご説明の前にまずFacebookメッセンジャーとは何なのかご説明します。
Facebookメッセンジャーとは、Facebookのユーザー同士がメッセージのやり取りを行うためのチャットアプリです。PC、スマホどちらからでも利用ができますが、2015年7月下旬からスマホアプリでは、Facebookに登録していなくとも利用が可能となっています。2017年9月14日には、月間利用者数が13億人を超えたと発表されるなど、世界中で利用されているチャットアプリです。
Facebookメッセンジャーのボットとは?
では改めてFacebookメッセンジャーボットについてご説明します。Facebookメッセンジャーボットとは企業などがFacebookを活用する際に、ユーザーとの会話をボットによって自動で行えるようにプログラムされたものです。
メッセンジャーボットでは、企業側から一方的に情報を発信するだけではなく、ユーザーからの問いかけに対して返信も行えるため、効率的にユーザーとやり取りができるようになります。また2016年4月12日にFacebookはメッセンジャーのAPIを公開しました。これによりボットの開発や自社サービスとの連携などが可能になったため、企業によるボット活用はさらに進んでいくことが予想されます。
参考:
Messengerアプリとはなんですか。インストールを求められているのはなぜですか。
Facebookメッセンジャーボットを活用するメリット
Facebookメッセンジャーボットを活用することで、企業側、ユーザー側それぞれの立場から見てどういったメリットがあるかについて、より具体的にご紹介します。
企業:問い合わせへの対応工数を削減できる
まず企業側のメリットとして、問い合わせへの対応工数削減が可能になります。例えばこれまでにお客様からよく問い合わせをいただいていた内容を人間ではなく、ボットに回答させるようにするだけでも大幅に工数を削減できます。
ユーザー:メールよりも気軽に問い合わせができる
ユーザー側のメリットは、メールを使ったり、実際の人間に聞いたりといったことに比べ、気軽に問い合わせができる点です。またボットが回答できるものであれば、時間を待たず即レスをもらえる点もユーザーにとって大きなメリットです。
Facebookメッセンジャーボットを作成する方法
このように便利なメッセンジャーボットですが、作成するにあたって基本的にはプログラミングの知識が必要となります。「Facebookメッセンジャーボットを導入したいけれど、プログラミングはできない…」という方は、簡単にメッセンジャーボットを作成できるツールを利用するのがおすすめです。そうしたツールを使えば、エンジニアでなくても比較的簡単にメッセンジャーボットを作ることができます。
チャットボット作成ツール「Chatfuel」でメッセンジャーボットを作る
メッセンジャーボットを作成できるツールにはいろいろなものがありますが、ここでは「Chatfuel」をご紹介します。
Chatfuelは無料で利用でき、送りたいメッセージを入力するだけで自動応答してくれるメッセンジャーボットを作ることができるツールです。管理画面は英語ですが、日本語のメッセージに対応しています。
アカウント登録
手順1:Chatfuelのサイトにアクセスし、「GET STARTED FOR FREE」ボタンをクリックします。
手順2:Facebookアカウントを使ってログインするためのダイアログが表示されます。メッセンジャーボットを作成したいFacebookページの管理者権限を持っているアカウントで表示されているかを確認し、ログインします。
手順3:連携したいFacebookページを確認し、「CONNECT TO PAGE」をクリックします。
これで登録の手順は完了です。
メッセージも作成
さっそく自動的に送付するためのメッセージを作成しましょう。
画面左側にメニューが表示されます。メニューごとに、右側のテキスト入力欄に送信したいメッセージを入力します。
フォローされた時にあいさつを送る
「Welcome message」は、ユーザーがFacebookページをフォローしたときに自動で送るメッセージです。フォローしてくれたユーザーの名前を自動で入力して、呼びかけることもできます。
選択肢のあるメッセージを送る
ただのメッセージだけではなく、選択肢を設けたメッセージも送信できます。ユーザーが選んだ選択肢に対して再び返信を送ることも可能です。見せたいカテゴリーのページへ誘導したり、アンケートをとったりというような使い方もできます。
手順1:メッセージ下の「ADD BUTTON」をクリック。
手順2:Blocksの欄に、選択肢として入れたいテキストを入力します。
手順3:手順2で入力した内容がブロックとして作成されました。これを選択した場合に送る回答を作成します。ここにはテキストのほか画像やURLも入れることができます。
実際のメッセージでは、このような見え方になります。
質問に自動で返信する
ユーザーからの質問などに自動応答を設定したい場合は、あらかじめどの単語にどのような返信を送るのかを設定しておく必要があります。
手順1:左サイドのメニューから「Set Up AI」を選択し、「ADD AI RULE」をクリックします。
手順2:左のテキストボックスにユーザーの質問内容、右のテキストボックスにはそれに対する返信を入力します。
基本的に、質問内容に含まれる単語に反応して返信メッセージが送られるので、会話が不自然にならないような返信内容になるように気をつけてください。
メッセージを一斉送信する
フォロワーにメッセージを一斉送信することもできます。メルマガのような使い方や、キャンペーンの告知などに利用できそうです。
手順1:左サイドのメニューから「Broadcast」を選択し、「DRIVER YOUR MESSAGE NOW」をクリックします。
手順2:「USER FILTER」をクリックします。
手順3:メッセージを送りたいユーザーの属性を選択します。性別や住んでいる国などFacebookで取得している属性データのほかに、特定のメッセージを回答したユーザーという絞り込みなどもできます。
手順4:①「ADD A CARD」から送りたいメッセージのタイプを選択し、②メッセージ内容を作成します。③完成したら「SEND」をクリックして送信します。
Facebookメッセンジャーボットの事例
事例1:MEDLEY症状チェッカーbot
医療介護の求人サイト「ジョブメドレー」や介護施設検索サイト「介護のほんね」などの運営や、スマホ通院アプリ「クリニクス」の開発を行っている、株式会社メドレーが提供するチャットボットです。同社が運営するオンライン医療辞典「MEDLEY」のボットで、「腰が痛い」、「咳が出る」など現在の自分の症状を入力することで、問診形式で可能性のある病気を表示します。
事例2:Wantedly
2012年2月にスタートし、2017年5月には月間利用者数で150万人を達成した仕事上の人脈管理や求人募集、応募ができるビジネス向けSNSのWantedlyが提供するチャットボットです。自分が働きたい場所や就きたい職種だけではなく、フリーキーワードを入力しても、それに合った求人情報を表示します。
事例3:ライフネット生命保険 保険相談
2009年6月には日本では初となるケータイサイトからの保険申込サービスを開始。2016年3月には、医療保険給付金請求手続きのオンライン完結を、生命保険業界で初めて実現したライフネット生命が提供するチャットボットです。悩みに応じて自分にぴったりの保険が見つかる「ほけん診断」のほか、生年月日や性別、保険商品を入力することで表示される「保険料見積もり」、保険に関する疑問に対応する「Q&A」などがあります。
事例4:ギズモード・ジャパン
株式会社メディアジーンが運営する日本でも有数のテクノロジーサイト、最新ガジェットの紹介から宇宙、AI、車、アート、デザイン、スポーツ、エンターテインメントなどさまざまな分野の情報を発信している「ギズモード・ジャパン」が提供するチャットボットです。登録していくつかの質問に回答すると、自分に合った最新情報を表示します。
事例5:HubSpot
HubSpot Japanは企業がインバウンドマーケティングを行う際、それを支援するソフトウェア(CRM)を提供している企業です。2006年6月にアメリカHubSpotが創業。その後、アメリカ以外では4か所目の拠点として、2016年2月にHubSpot Japanが東京に設立されました。そのHubSpot Japanが提供するチャットボットです。HubSpotが提供しているマーケティングツールやソフトウェアの無料でもなどの申し込みができます。
補足:メッセンジャー関連広告について
Facebookメッセンジャーには広告を掲載することもできます。広告を上手く利用できれば、ユーザーを呼び込む導線になります。
メッセンジャー広告は、モバイルアプリの「ホーム」タブ内に表示されます。2017年9月現在、メッセンジャー広告はその目的が「トラフィック」、「コンバージョン」となっている広告キャンペーン限定で利用できます。広告のリンク先は、WebサイトのURL、メッセンジャーのスレッドを指定可能で、対象ページはメッセンジャー内のブラウザで表示されます。
https://www.facebook.com/business/help/1726475564333544
ほかにもあるメッセンジャー関連広告
メッセンジャーアプリに直接、広告を表示する以外にも、メッセンジャーに関連する広告は2つあります。そのひとつが、「メッセンジャー誘導広告」です。メッセンジャー誘広告ではFacebook広告の誘導先として、メッセンジャーのスレッドを指定できます。
https://www.facebook.com/business/help/1444950442185441
そしてもうひとつが過去に1回以上、メッセンジャーでやりとりをしたことのあるユーザーをターゲットとして配信が可能な「広告メッセージ」です。このようにメッセンジャーボットでユーザーとつながりを作っておくことで、広告の誘導先やターゲットのバリエーションが増えることは、Facebookの広告から売上を作るうえで大きなメリットです。
関連記事:
Messenger広告が全世界で可能に! Messengerに関する3種類の広告解説!
まとめ
SNSは継続的にユーザーと関係性を構築していけるメリットがありますが、コミュニケーションが中心となるため、どうしても時間的なコストがかさんでしまいます。
そこで簡単な問い合わせや、目的別おすすめ商品の紹介などをボットで行うことで、時間的コストの大幅な削減を実現します。これはユーザー側から見ても、チャットで会話しながら問い合わせなどができることで、メールや電話で問い合わせるという面倒もなく、かつ即レスで回答を得られるメリットがあります。
プログラミングの知識がなくともボットを開発できるツールやメッセンジャー関連の広告が増えていることもあり、現在はまだ一部の企業だけが取り入れているチャットボットも、自社への集客、誘導ツールとして今後は急速に普及していくことが予想されます。
情報提供元:Gaiax
記事名:「広告活用も可能!企業がFacebookメッセンジャーボットを使うメリットと事例、作成方法」