メッセンジャー機能をはじめ、決済サービスやショッピング機能など多彩なコンテンツを武器に今や消費者の生活インフラとしての立ち位置を確立したLINE。そのLINEが企業に提供する運用型広告がLINE Ads Platform(以下、LAP)です。
LINEのタイムラインやLINE NEWS、LINEマンガ、LINE BLOG、LINEポイントといったメディアへワンストップで配信することでき、また国内7600万人というMAU数を強みとした同プラットフォームは今、プラットフォームの切り替えという大きな転換点にあります。今回はビジネス開発本部の木原宏樹氏、LAPプロダクト企画室の須藤奨氏に、LAPのリニューアル内容、そして今後の展開についてお話を伺いました。
Interview / ソーシャルメディアラボ編集長 (@gxsoc_kohigashi)
Text & Photo / ソーシャルメディアラボ編集部 大木一真(@whiskyjunky)
- ■目次
- プロフィール
- MAU以外の「武器」。プラットフォームの切り替えの目的とは
- パフォーマンスを最大限に上げるために。MAU✕データがキモ
- SMB領域への進出に「スマートチャンネル」の構想
- LINEで一気通貫のマーケティングを実現
1. プロフィール
LINE株式会社 コーポレートビジネスグループ ビジネス開発本部 Display事業室 室長 木原宏樹 氏
LINE Ad Business センター LAPプロダクト企画室 須藤奨 氏
2. MAU以外の「武器」。プラットフォームの切り替えの目的とは
小東:リニューアルするとのことですが、これまでのLAPの強みと課題はどのような点にあったのでしょうか。
木原宏樹 氏(以下、敬称略):広告としての一番の強みはMAU(Monthly Active Users)です。つまり、圧倒的なリーチ力です。リーチ力が強みである一方、運用型広告として必要な機能やターゲティングの精度、種類ではまだまだ他社プラットフォームに及んでいない部分もありました。
LAPの最終的な目的は広告主様の広告パフォーマンスを最大化し、ビジネスの課題を解決することですが、LINE(LAP)に対する広告主様からの期待値は非常に高く、現状の仕組み、商品ラインナップではその期待値をクリアすることは厳しい状況でした。
ですので、2018年は次のステージに向けた準備期間と決め、開発リソースも集中させ、2019年に向けて準備を進めてきました。これだけの規模感のプラットフォームをリニューアルするというのは非常に大変な作業ではありますが、おかげさまで切り替えは順調に進んでおります。
3.パフォーマンスを最大限に上げるために。MAU✕データがキモ
小東:LAPの新機能について、具体的なお話をお聞かせください。
須藤奨 氏(以下、敬称略):新プラットフォームでは既に、LINE公式アカウントのフォロワーデータを活用したターゲティング機能をリリースしています。また、LAP 経由で番組の視聴予約をすると、あらかじめ指定した時間に公式アカウントからリマインドのメッセージが届くといった、テレビ番組や映画の告知を可能とする広告商品の企画も進行しています。
今までは LAPとLINE公式アカウントがそれぞれのサービス内で完結していましたが、今後はそれぞれのサービス間での連携を促進し、LINE が提供するプロダクトをより横断して活用できるようにしていく予定です。
木原:これらの機能はLINEならではの武器だと思います。世に言う「アドネットワーク広告」というシンプルなものではなく、弊社が持つデータ、広告プロダクト、そして様々な資産を最大限活用し、「広告の届け方」の部分で他社との差別化を図っていきます。これまでは「MAU」が最大の武器だと言ってきましたが、次のステージではこれに「データ」「プロダクト」を掛け算していきます。
小東:LINEには色々なサービスがあると思いますが、具体的にどういった「データ」を活用していくのですか。
須藤:まずはLINE公式アカウントのデータですね。今後はユーザーの位置情報やLINEサービス内の購買履歴といったデータも活用していく構想があります。データによって広告配信の精度が改善し、今までリーチ出来ていなかったユーザーへのターゲティングが可能になることで、まだまだパフォーマンスを向上することが出来ると考えています。
小東:広告の運用担当者としては、リニューアルで何が変わるのでしょうか。
須藤:今回のリニューアルはゼロから自社で開発しており、管理画面の UI が完全に刷新され、アカウント構造も広告配信の最適化に適した形へと変わっています。今後は広告主様や代理店様からのフィードバックをいただきつつ、日々スピード感を持って改善に取り組んでいく予定です。
また、広告配信のアルゴリズムも専属のチームが新規に作り上げており、運用担当者様の負荷を減らしつつ、パフォーマンスを最大化できるプラットフォームを提供するために、LINE が保有する莫大なデータに基づく自動入札機能の開発にも注力しています。
木原:実際、新プラットフォームでは旧プラットフォームと比較して、 CTVR も高い結果となっていますね。
4.SMB領域への進出に「スマートチャンネル」の構想
小東:今後の展望についてきかせてください。
須藤: 現在、LINEのアカウントビジネスでもシステム移行および、料金プランの変更が進んでいます。それに合わせて、LAPで使っているオーディエンスデータをそのままアカウントビジネスで活用する、といったことも進めています。
木原:アカウント連携を通していろんな機能が出ますし、あらゆるデータを包括していきます。これまでは広告ビジネスとして大手企業様に軸足を置いた展開をしていましたが、来年はSMB(Small to Medium Business:中小企業向け)のマーケティング領域にも進出していこうと考えています。
小東:SMB領域への進出というのは、どういったアプローチになるのですか。
木原:大きなクライアント様は月額のマーケティング予算は数百万円後半から数千万円になりますが、地方の企業さんや飲食店さんがマーケティングに使える月額の予算は数万円から数十万円です。「CLOSING THE DISTANCE」というコーポレートミッションのもと、大手企業様のみならず中小規模の広告主様との距離もLAPを通じて縮めていくということです。
須藤:広告運用に馴染みがない人でも、簡単にマーケティング課題を解決できるプラットフォームを目指したいですね。SMB 領域への進出に必要な機能の開発も進めていきます。
木原:また「スマートチャンネル」という構想があります。これはLINEのトークリストの上部に情報エリアを設置し、我々の持っている情報コンテンツをユーザーに届けるというプロジェクトです。
LINEが持つユーザーの「みなし属性」や、LINEアプリ内でのユーザーの行動履歴などのデータに基づいてパーソナライズされた天気、重大ニュース、災害情報などの生活に役立つ情報、そしてその文脈で広告も配信していく予定です。このプロジェクトによって、これまでとは桁違いな広告配信インベントリを準備できるため、広告主様には大きなインパクトになるだろうと思っています。
5.LINEで一気通貫のマーケティングを実現
小東:LAPとして、今後どのような価値提供を行いたいか教えてください。
須藤:すべてのクライアント様の課題解決をミッションとして捉えており、今後、お客様をさらに広げることを目標としています。今まで使えていなかったデータを活用し、配信のパフォーマンスを上げていくこと、そして広告主様のROAS(費用対効果)を改善していきたい、というのがプロダクトとしてのミッションです。
木原:運用型広告としてだけではなく、LINEというツールでマーケティング全般、認知から獲得まで一気通貫して行えるようになりたいというビジョンを描いています。広告配信の最適化を自動で行える、マーケティングオートメーションを最終的には実現していきたいです。今回のプラットフォームの切り替えは、その第一歩だと考えています。
小東:ありがとうございました。
情報提供元:Gaiax
記事名:「LINEの持つ圧倒的なMAU✕データを武器に。大規模リニューアルされるLINE Ads Platformに迫る」