サイレンを鳴らして、大通りを駆け抜けて行く消防車や救急車。街で見かける光景です。これらの消防車両は、消防無線を通じて消防本部から指令を受け、火災や災害の現場に向かっています。現着(現場到着)後は、より密な連絡を取りながら、消火や救助などの各種活動を進めていくのです。

消防無線で中心的な存在になる活動波

消防組織の活動で使われる無線は消防無線と呼ばれ、大きく分けて2種類あります。消防本部と出場した消防車両や部隊との通話で使用されるのが「活動波」です。

基地局は270MHz帯、移動局は260MHz帯の半複信式で、レピータ(中継)方式を採用。レピータは、管内でくまなく通話できるよう出力は強力です。また、レピータを介さずに、移動局同士で直接通話する単信式での運用もできます。

活動波は、消防無線の中心的な存在。出場指令に始まり、災害の状況報告などがやり取りされます。聞き応えのある無線ですが、デジタル波であるため復調できません。

消防無線の署活系は受信機で聞ける

もう一つの無線は、出場した部隊の隊員同士の通話で用いられる「署活系」です。466MHz帯の単信式で出力は1W。アナログ波なので、受信機で聞くことが可能です。

署活系は「署外活動系」の略で、その名の通り消防署外で活動する時に使う通信系。隊員1人1人に無線機が配備され、災害現場での連絡に用いられます。

デジタル消防無線にもハンディ機は存在しますが、あまり普及していないのが実情。というのも、デジタル機はアナログ機よりも大きい上に重く、バッテリーの持ちもよくありません。

少しでも装備を軽くしたい重装備の消防隊員にとって、取り回しの悪いデジタル機は不評でした。また、アナログ機よりもデジタル機の方が高価なため、消防本部を管轄する自治体の議会に予算を通すにも、紆余曲折したところもあったようです。

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情報提供元:ラジオライフ
記事名:「消防無線で受信機で聞けるのは活動波?署活系?