全国に7社ある「JR」は、その前身である日本国有鉄道「国鉄」の無線システムを受け継いでおり、各路線の輸送量に応じた「タイプ」に分かれています。指令側が352MHz帯、列車側が336MHz帯の周波数を使用しているのがAタイプ・Bタイプです。どちらも同じ周波数を使用していますが、2つの違いがあります。

列車無線のAタイプは同時通話の複信式

一つは通話方式。Aタイプは電話のように同時通話できる複信式なのに対し、Bタイプは「了解」「どうぞ」と交互に通話する半複信式になっています。もう一つはチャンネル数です。Aタイプには1~8ch、BタイプはAタイプのうち1~5chを使用します。

一見すると、AタイプとBタイプは別のシステムのように聞こえますが、実際には互換性があるのです。基地局側の機器は、AタイプもBタイプも全く同じ。列車に積まれた無線機が違うだけなのです。

運転台の列車無線機がテンキーの付いた受話器型ならAタイプ、ハンドマイク(スピーカーマイク)ならBタイプとなります。AタイプでもBタイプでも、チャンネルを合わせれば同時通話できるか、できないかの違いだけで通話は可能なのです。現在、Bタイプ無線機は置き換えが進められており減少傾向にあります。

列車無線に「ピー」という空線信号

列車無線のAタイプ・Bタイプは、指令側を受信するのが鉄則。電波が安定しているだけでなく、列車側の音声も流れるからです。ただし、Aタイプ・Bタイプの指令側では、通話が無い時に「ピー」という空線信号が延々と流れています。

これは、列車の無線機に通話エリア内でいつでも通話可能なことを示すためのもの。受信機の「空線信号キャンセラー」を作動させると、騒々しいこの空線信号を聞くことなく静かに待ち受けできるのです。

Aタイプ・Bタイプは、現在ではJR東日本は仙石線、JR東海は名松線を除くほぼすべての路線で使われています。また、私鉄でもJRに直通する一部の路線で導入しているのです。(文/おだQ司令)

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情報提供元:ラジオライフ
記事名:「列車無線のAタイプとBタイプは互換性があった?