アーティストやタレントによる覚せい剤に関連する事件が後を絶ちません。そんな中、報道でよく目にするのが警察による尿検査などによって「覚せい剤が検出された」というもの。警察はどのように違法薬物を鑑定していて、その分析力はどこまで正確なのでしょう。元埼玉県警科捜研職員に話を聞きました。

科捜研による覚せい剤分析には2通り

警察で覚せい剤を鑑定すると聞くと、違法な薬物に試薬を垂らして色に変化が現れたらクロというような試験をイメージしますが、実際は違います。試薬を垂らすのは現場の鑑識レベルで行う簡易的な分析です。

警察の科捜研では、より精密に成分分析を行います。覚せい剤分析には、使用前の粉末状の場合と使用後の尿を分析する場合の2通りが存在するのです。

押収された粉末を分析するには「FT-IR」(フーリエ変換赤外分光法)という方法を取ります。これは物質に当てた赤外線の吸収パターンが、覚せい剤と似た特徴を示すかを見るものです。

一方、尿検査の分析は「GC-MS」(ガスクロマトグラフ質量分析)という方法。尿などの代謝物から成分を分離して、質量パターンから化合物を特定します。

科捜研の陽性反応はほぼ間違いない

覚せい剤というのは、2種類の化合物しかありません。メタンフェタミンとアンフェタミンです。覚せい剤が検出されたというと、この2種類のどちらかが出たということ。そして、日本の覚せい剤の99.9%がメタンフェタミンです。

メタンフェタミン使用者の尿からアンフェタミンも検出されます。ただし、風邪薬やサプリから覚せい剤反応が出ることはありません。唯一、パーキンソン病治療の薬を飲んだ患者の尿からもメタンフェタミンが検出される例がありますが、これは処方薬で記録も残るため、普通は所持できません。

尿検査による陽性反応は使用後、数分くらいで出るもの。期間は人によりますが、大体1~2週間は成分が検出されます。3日以内なら必ず出るとのことです。

そして、警察の科捜研で覚せい剤の陽性反応が出たということは「ほぼ間違いない」といえるレベル。これは、大麻など他の違法薬物についても言えるといいます。

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情報提供元:ラジオライフ
記事名:「警察の科捜研は覚せい剤をどうやって鑑定する?