NHK契約拒否や受信料に関して、過去に争われた裁判で重要な意味を持つのが、2017年12月に最高裁大法廷が出した判決です。この裁判では、放送法に規定された受信料制度が憲法に照らして問題があるかどうかが大きな争点でした。そして、最高裁大法廷が出した判断は「憲法に違反しない」というものだったのです。
NHKを契約拒否する世帯に通告書送付
民事訴訟では、一番認めてほしい内容である「主意的請求」のほかに、別の内容の「予備的請求」を合わせて提訴することがあります。これは、主意的請求が認められなかった場合に備え、予備的請求を追加し全面敗訴を防ぐために行うものです。
この裁判でNHKが主意的請求としていたのは、NHK受信契約を求める通告書が視聴者に到達した時点でNHK受信契約が成立。視聴者はこの契約にもとづき、NHKへ受信料を支払うという内容でした。
もしNHKの主意的請求が裁判で認められると、NHKを契約拒否する世帯に通告書を送れば、NHKが契約拒否世帯へ受信料を請求できることになります。しかし、東京地裁・東京高裁ともにNHKの主意的請求については棄却しました。
一方で、NHK側の予備的請求のひとつである、判決に基づき視聴者はNHKと受信契約を結び、NHKへ未払い受信料を支払うという内容は認められ、視聴者側がNHK側が主張する受信料を満額支払う判決になっていたのです。
NHK契約拒否に裁判による命令が必要
じつは、NHK側の主意的請求が最高裁で認められると、契約拒否世帯へのNHKの対応が大幅に簡略化します。通告書の発送のみでNHKとの受信契約が成立すれば、その後は支払督促や略式手続といった正式裁判によらない民事手続きを、NHKが活用できるからです。
はたして、視聴者・NHK双方からの上告に対し、最高裁はどのような判断を行ったのでしょうか。最高裁は上告を受理し、小法廷ではなく大法廷で審理を行ったうえで、双方の上告を棄却しました。つまり、最高裁はNHKの主意的主張を認めなかったのです。
2017年12月に最高裁大法廷が上告を棄却したことにより、今後NHKが契約拒否の世帯へ契約を認めさせるためには「裁判で争ったうえで受信契約を結ぶという命令を出してもらう必要がある」という判断が出たというわけです。
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情報提供元:ラジオライフ
記事名:「NHK契約拒否は正式な裁判でしか解決しない理由」