4K放送が本格スタートしてもうすぐ6年。大画面テレビでは4Kチューナー搭載モデルが大多数を占めるようになりました。4Kチューナー搭載テレビがこれまでのテレビと違う点のひとつが、ACASチップを内蔵し、B-CASカードが付いてこないことです。なぜACASとB-CASの仕組みについて見ていきましょう。
ACASとB-CASで暗号化方式が違う理由
ACASとB-CASで大きく異なるのが、B-CASは受信装置に搭載されたB-CASスロットにB-CASカードを挿入して使用するのに対し、ACASでは受信装置にACASチップがあらかじめ内蔵されている点です。なお、ACASがスタートした初期には、外付けACASチップを利用するモデルもありましたが、2020年4月以降は出荷されていません。
ACASチップ、B-CASカードはともに番組のスクランブル解除に必要な情報を格納するために使われます。じつは、現在国内で放送される4Kを含むBS・CS放送や地デジの番組は、ほとんどがスクランブル化されています。これは、もともと有料チャンネルの視聴制限用に導入されたB-CASにコピー制限機能を付け加えたことが理由です。
見た目以上にACASとB-CASで異なる大きな点は、暗号化の方式が違うということです。これは、B-CASの暗号化が10年以上前に解析され不正利用が相次ぎ、新しい暗号化技術としてACASが開発されたという事情が関係しています。
ACASはB-CASの暗号鍵を保存できる仕様
2000年に導入されたB-CASは、1980年代に開発された「MULTI2」という暗号化方式を利用。MULTI2は、B-CAS導入当時は強力な暗号化方式でしたが、2010年代にハッカーによる解析が成功してしまいました。そのため、新しいACASでは2000年前後に開発されたAES・Camelliaという暗号化方式を採用しました。
MULTI2は暗号鍵の長さが64ビットなのに対し、AES・camelliaは128~256ビットと長く、暗号化の解析が難しくなっています。ちなみに、4K放送の場合はAES・Camelliaともに128ビットの暗号鍵を使用。そのため、64ビットの暗号鍵に対応するB-CASカードにはACAS用の暗号を保存することが物理的にも難しいのです。
一方、ACASチップはB-CAS用の暗号鍵を保存できる仕様になっています。そのため、B-CASで放送されているBS・CS放送や地デジを受信する場合、ACASチップの情報を利用してスクランブルを解除することができるのです。
なお、地デジに関してはスクランブル解除をソフトウェアのみで行う「RMP」という方式が2013年に追加されたため、ACASチップやB-CASカードなしで地デジのみを視聴するテレビも登場。多チャンネル録画に対応したレコーダーでは、RMPとB-CAS・ACASを併用することで同時録画チャンネル数を増やしています。
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情報提供元:ラジオライフ
記事名:「4KテレビにB-CASカード同梱されなくなった理由」