首都圏の高速道路路線のうち、京葉道路は1960年に一部区間が開通し、第三京浜も1964年に一部区間が開通するなど、その歴史は50年以上。どちらも大量の交通をさばく黒字路線で、そろそろ無料化してもよさそうに見えます。実は、両路線とも無料化するチャンスもあったのですが、さまざまな手段で無料化を阻まれてきた歴史があるのです。

当初は高速道路の料金プール制対象外

高速道路の通行料金は、名神高速・東名高速が開通した1960年代には、各路線ごとに決められた年数で建設費を返済するためのもので、返済後は無料となる予定でした。ところが、全国に高速道路網を建設するには、先行開通路線の黒字分を回すべきという話となり、1972年に「料金プール制」という仕組みが導入されます。

料金プール制に組み込まれた高速道路は、全路線の建設費用をまとめて計算。この費用の返済が終わるまで、通行料金の徴収が続きます。高速道路の建設費用は、物価の関係で新規路線になるほど高く、名神高速や東名高速がいくら黒字を達成しても、新規路線を建設し続ける限り建設費用の完済は厳しくなります。

当初、料金プール制に組み込まれた高速道路は「高速自動車国道」に指定された路線のみで、その他の路線は対象外でした。料金プール制に組み込まれなかった路線は「一般有料道路」という扱いで、法令上は国道バイパスとなります。例えば、第三京浜は国道1号線、京葉道路は国道14号線のバイパスです。

アクアライン開通で無料化は絶望的に

料金プール制に組み込まれなかったため、当時は第三京浜は1994年、京葉道路は1990年に償還期限を迎え無料になるはずでした。ところが、「横浜プール」「千葉プール」という料金制度が導入され、第三京浜は横浜新道・横浜横須賀道路と、京葉道路は千葉東金道路と一体で建設費を返済することになったのです。

この新制度導入により、建設費用が高い横浜横須賀道路を含む横浜プールは20年近く償還期限が延長されることに…。また、千葉プールについても約7年償還期限が延長されることになりました。それでも、千葉プールは京葉道路・千葉東金道路ともに黒字路線だったため、近いうちに無料化される可能性は高かったといえます。

しかし、1998年に東京湾アクアライン・アクアライン連絡道が全線開通すると、両路線が千葉プールへ組み込まれることになったのです。建設コストが1兆円を超える一方で、利用者が少なくガラガラだった両路線が千葉プールへ組み込まれたことにより、京葉道路が無料になる可能性は絶望的となってしまいました。

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情報提供元:ラジオライフ
記事名:「黒字の京葉道路や第三京浜が無料化されない理由