NHK受信料の未払いについて、NHKと視聴者で裁判になることがしばしばありますが、その場合は視聴者側が完全に勝訴することはほぼありません。しかし、NHKがすべての受信料未払いに対して次々に裁判を起こしていればそれ自体が大きな話題になるはず。じつは、NHKが視聴者と裁判で争う件数はきわめて少ないのでした。

NHK受信料未払いは支払督促を郵送する

NHK受信料未払いを長年にわたり続けた場合、NHKが民事訴訟を含めた法的手続きをとることがあります。NHKの発表資料によると、法的措置をとる際にはいきなり民事訴訟を行わず、まず「支払督促」という制度を利用して未払い受信料を回収しようとします。

支払督促は、未払い金などの債権を持つ債権者が債務者から債権を回収する方法のひとつ。裁判所へ行かずに郵送のみで手続きが進められることが特徴です。NHKが受信料未払いについて支払督促を利用する場合、まず未払いを続ける視聴者の住所を管轄する簡易裁判所へ支払督促申立書として郵送します。

支払督促申立書が届いた簡易裁判所は、書類に不備がない限りNHKの申し立て内容をそのまま記載し視聴者へ「支払督促」というタイトルの書類を発送。郵送する際には「特別送達」という特殊な郵便が使われます。特別送達は、通常の郵便と異なり受け取り拒否をすることができません。

NHK受信料未払いの支払督促から訴訟

NHKから支払督促が届いた場合、2週間以内に発送元の簡易裁判所へ異議申立を行わないと、NHK側の言い分がそのまま通る仕組みです。ただし、異議申立を行うとそのまま通常の民事訴訟へ移行するため、公判のために裁判所へ出向くなどの手間が増えることになります。

NHKはWebサイトで定期的に支払督促の申立件数を更新しており、その際には2006年11月から行われた累計で発表されます。最新版の2024年9月末の支払督促申し立て件数は1万1773件で、2023年9月末時点では1万1663件。この2つの数字から、2023年10月~2024年9月の1年間でNHKが支払督促を申し立てた件数は110件ということがわかります。

そして、支払督促申し立て件数は内訳も公表されており、2024年9月末の1万1773件のうち訴訟中は12件。2023年9月末の2件から10件ほど増えています。110件の支払督促の増加に対して、訴訟中の増加の比率は9%ほど。支払督促を受けた人のうち1割弱が訴訟に発展していると考えられます。

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情報提供元:ラジオライフ
記事名:「NHK受信料未払いで支払督促から訴訟になる確率