固定式オービスと異なり、細い道にも持ち運んで取り締まりが行える「可搬式オービス」は、ドライバーにとってこれまで以上に脅威の存在です。なかでも、可搬式オービスによる取り締まりに積極的なのが千葉県警で、2021年以降取り締まり件数を大幅に増やしています。じつは、その理由にはある痛ましい事故が関係しているのです。
可搬式オービスの件数は千葉が断トツ
警察庁の資料「可搬式速度違反自動取締装置の運用状況(令和3年中)」によると、各都道府県警のうち2021年に可搬式オービスでの取り締まり件数(撮影枚数)がもっとも多かったのは千葉県警で5316件でした。これは、2位の福岡県警が3265件だったのと比べても2千件以上多く、可搬式オービス取り締まりでは断トツといえる状況です。
千葉県警の可搬式オービスでの取り締まり件数が多い理由として、可搬式オービスを全国一多く配備していることがまず考えられます。同じく警察庁の「可搬式速度違反自動取締装置の運用状況(令和3年度末)」によれば、千葉県警の可搬式オービス所有台数は10台で、2位にあたる警視庁の9台を抑えてトップです。
しかし、2021年中に関しては事情が異なり、じつは千葉県警の10台のうち7台は2021年9月に緊急配備が千葉県議会により決められたものなのです。入札などを経て実際に配備されるためには時間が必要なため、2021年のすべて、あるいはほとんどの期間を千葉県警は可搬式オービス3台体制で取り締まりを行っていたと考えられるのです。
可搬式オービスを千葉県警が積極活用
2021年度末、つまり2022年3月末時点で3台の可搬式オービスを導入していた他の府県警の場合、大阪府警は2241枚と多いものの、それでも千葉県警の半数以下。岡山県警になると426枚とガクンと減り、兵庫県警は305枚、滋賀県警は169枚といった具合です。
じつは、千葉県警が可搬式オービスによる取り締まりに積極的なのは、2021年度のなかばに7台追加で緊急配備した理由が関係しています。というのも、この年の6月に八街市で飲酒運転のトラックが下校児童の列に突っ込み5人の死傷者を出した事件が発生し、千葉県警には緊急の対応が求められていたためです。
この事故の大きな原因は、トラックドライバーの飲酒運転ですが、事故現場が小学生の通学路だったこともクローズアップされました。そのため、千葉県警が対策として9月に発表した「千葉県警察交通安全緊急対策アクションプラン」には、生活道路でスピード違反を取り締まれる可搬式オービスの積極活用が盛り込まれたのです。
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情報提供元:ラジオライフ
記事名:「可搬式オービス取締りに千葉県警が積極的な理由」