ETCカードには、高速道路の大口ユーザー向けに発行される「ETCコーポレートカード」があります。このカードには他のETCカードにない特徴があり、それはクレジットカードのような磁気ストライプが付けられていることです。ETCコーポレートカードだけに磁気ストライプがある理由には、じつはETCの歴史が深く関係しているのです。

ETCコーポレートカードと大口割引

ETCが全国の高速道路で使われ始めたのは2001年のことで、すでに20年以上が経過しています。しかし、当初はETCの普及がそれほど進みませんでした。一番大きかった理由はETCを使っても安くならないという点です。同じ通行料金であれば、車載器が必要な分ETCは現金より割高になります。

これは、自家用車に限ったことではなく、大型トラックなどの商用車も同様でした。運送会社など大口利用者には、旧日本道路公団時代から「別納プレート」と呼ばれるカードを利用すると後払いで割引になる制度がありました。ただし、料金所窓口で手渡して使用するカードで、ETCレーンでは使えません。

そこで、ETC普及を進めるために別納プレートの契約者向けに特別なETCカードが発行され、これを利用した場合には別納プレートと同じ通行料金となる仕組みに変更。しかし、別納プレートと通行料金が「同じ」だけでは、やはりETC車載器を購入する分だけ割高で、ETC普及の決定打にはなりませんでした。

ETCコーポレートカードで一般レーン

高速道路の大口ユーザーへETCが普及するきっかけになったのは、これまでの別納プレートを廃止し、大口割引をETCコーポレートカードとして一本化することになった2005年のことです。ETCコーポレートカードの契約には、利用車へETC車載器を取り付ける必要があり、一気にETCの普及が進みはじめました。

しかし、当時は今ほどETCレーンの数が多くなかったなどの理由で、ETCコーポレートカードに限って一般レーンを通過した際にも利用できるよう、カード上に磁気ストライプが残されることになりました。この仕様が現在まで引き継がれ、ETCカードのなかでETCコーポレートカードのみ磁気ストライプが用意されています。

NEXCO東日本によると、現在もETCコーポレートカードの磁気ストライプ情報は有効で、ETCカードのICチップが読み取り不能だった場合などは、一般レーンで磁気ストライプの情報を利用して決済ができるとのこと。ただし、同社路線にETCカードが使えないICや本線料金所はないそうです。

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情報提供元:ラジオライフ
記事名:「ETCコーポレートカードに磁気ストライプある理由