本稿は、Smashing Magazineのブログ記事を了解を得て日本語翻訳し掲載した記事になります。
本記事は、サンフランシスコで働くマーケターAnya Pratskevich氏によって投稿されました。
今、人はスマートフォンに1日約5時間を費やしています。
では、なぜモバイル広告を効果的に運用するのは難しいのでしょうか?マーケティング担当者は、ターゲットを絞った広告のクリック率やコンバージョン率を上げることに注力しています。
しかし一方で、邪魔なバナーに飽きたユーザーたちは広告ブロッカーをインストールし続けています。モバイル広告には世界規模で毎年約1000億ドルが消費されていることを考えれば、この負の関係を解決する方法を見つけ出すことが必要です。
幸いなことに、最近のモバイルのトレンドには、発行主(パブリッシャー)や広告主はユーザー体験を考慮している兆候が見られます。
たとえば、 Googleはユーザーの関心を取り戻すためにモバイル版の「ポップアップ広告の制裁や削除」に取り組み、マーケティング担当者は、新規顧客の積極的な獲得よりもリテンション(既存顧客の維持)を大切にする傾向にあります。
モバイル広告のトレンドには、VR・AR広告のようにトレンドとなるまでに今後数年かかることが予想されるものもあれば、モバイルウォレットやチャットボットのようにすでにモバイル上で毎日のように「ブランドと消費者の交流」を数百万もの規模で促進しているものもあります。
VR・AR広告はトレンドとなるまでに今後数年かかることが予想されますが、モバイルウォレットやチャットボットはすでにモバイル上で毎日のように「ブランドと消費者の交流」を数百万もの規模で促進しています。
この記事では、モバイルマーケティングの最大のトレンドを紹介します。
モバイルはデジタルとオフラインの経験を結びつける
モバイル決済は米国で増加しており、2020年までに3,200億ドル以上に達することが予測されています。
しかし、これらの購入による収益は、マーケティング担当者が取引データを収集することによって得られるメリットのほんの一部にすぎません。
小売業者は、現金の不要なモバイル取引から得たデータをCRM(顧客関係管理)に利用し、購買履歴、場所、時間に基づいてひとりひとりの購入者のエクスペリエンスを個人化できるようになりました。
たとえば、スターバックスはブランドのモバイルウォレットアプリを通じて、ロイヤルカスタマーの情報を収集しています。顧客はどこにいて、どのような飲み物を注文し、どのような種類の音楽を聴くのか(ユーザーはアプリ内で音楽プレイリストを作ることができます)などについてです。
また、Sephora to Goというアプリは、ユーザーの購入履歴に基づき、ユーザーがストア内にいる間はいつでも、彼らのスマートフォンやスマートウォッチ上で新しい製品を勧める通知をプッシュします。
モバイル決済は、顧客データを収集し、デジタルな体験を個人化するための重要なツールです。
では買い物客にとってはどのようなメリットがあるのでしょうか?
多くのユーザーは、モバイル決済において手軽な体験を楽しみます。それは、ICチップを搭載したEMVカードよりも速く、物理的にお財布を持ち歩くよりも簡単で安全です。
Android Pay、Apple Pay、そして最近ではBMOとのパートナーシップを結んだVisaのサービスであるSelfie Payも、ユーザーのセルフィー(自撮り)を使用してユーザーの身元を確認しています。
ほとんどのソーシャルメディアのセルフィーとは異なり、モバイルの決済データはトークン化の技術によって保護されています。すべてのマーケティングメッセージは、事前に購入者からの同意を必要とします。
より短い動画で効果的なマーケティングを推進
すべてのYouTubeビューの半数以上は携帯端末からのものです。
モバイルの平均ダウンロード速度は、19.27Mbpsを超え、前年比で30%も向上しました。テクノロジーの向上により、広告はインタラクティブなデジタルコンテンツをより多く買い物客に表示するようになりました。
明らかに、モバイル上では人々とコンテンツとのインタラクションは特異であるため、マーケティング担当者は公共場所で手元にヘッドホンを持っていないユーザーに対して、動画を表示したり、動画にテキストオーバーレイを追加します。
モバイル、ソーシャルメディア、動画はマーケティングROIのための強力な神器となりました。ROIもまた追跡が以前より容易になっています。
動画広告は魅力的です。ユーザーの80%が過去30日間に視聴した動画広告を思い出すと示すデータもあります。
動画はネイティブ広告のフォーマットを、モバイル上での広告設置のための複数のオプション(プレロール・ミッドロール・ポストロール広告、アプリ、動画バナーなどのインタースティシャル広告)に対応させます。
マーケティング担当者は、ブランド認知度だけでなく、より具体的なパフォーマンス指標により、動画によるROIを測定できるようになりました。
たとえば、Googleの最新の広告商品は、動画広告は顧客が実際の店舗に足を運ぶことを促進する効果があることをデータで示しています。
チャットボットによるブランドとの1対1の会話
会話は、販売と良質な顧客サービスのための基礎を築きます。
チャットボットは、1対1のやりとりを、テキストメッセージを介して何百万人もの消費者に提供します。たとえば、Whole Foodsには買い物客に対して料理のレシピを提案してアシストするFacebookボットがあります。
同様に、バーガーキングとピザハットの顧客はFacebookのメッセンジャーやTwitterのボットを通して、直接注文することができます。しかし、チャットボットはセールスマンの代わりとなり、顧客の注文を促進するだけではありません。
チャットボットは、Facebookの特定のユーザーに関して豊富なデータを持っているため、ブランドはそのユーザーの好みを知り、それに対応してコミュニケーションを個人化することもできます。
さらにディープラーニング(深層学習)のアルゴリズムは、時間の経過と共にボットを改善するため、消費者行動を予測することにおいては、その地域の店舗のどの店員よりもブランドに高い優位性を与えることになります。
ブランドは、買い物客の受信箱で直接的に、商品やサービスをアップセルまたはクロスセルするようになるでしょう。
IoTによって購入へのプロセスを削減する
ブランドは、Internet of Things(IoT)を使用して消費者データを収集する多くの優れた方法を有しています。 Alexa、Siri、Google Assistant、MicrosoftのCortanaやLINEのClovaなどの音声アシスタントは、文字通り、ブランドが顧客の声に耳を傾けることを可能とするのです。
Amazon Echoの人工知能Alexaの所有者は8000万人以上いますが、彼らはAmazonの音声コマンドによって簡単に注文することができます。
ウェアラブルで、ネットワークに接続されたオブジェクト、スマートパッケージは、買い物客の購入プロセスを短縮します。たとえば、小型端末のAmazon Dash Button(アマゾンダッシュ)は、人々のホームWi-FiおよびAmazonアカウントに接続します。
Amazonプライム会員が洗剤、電池、他の家庭用の日用品を使いきる度に、ダッシュボタンを押すだけで自動的に注文が行われ、商品は2日以内に配送されます。
マーケティング担当者にとっては、消費者に彼らの家庭で近づくことができるこの機会は、顧客データをとりわけ慎重に処理する必要があることを意味します。
購入動向のデータは、リテンションマーケティングなどに役立つ一方で、家庭用のデバイスはプライベートな領域とみなされます。
マーケティング担当者は、「のぞき見されているようで気味が悪い」と消費者に思われることを避けるため、健康などのプライバシーに関する個人化された製品まで推奨するべきではありません。
ネイティブ広告:動画はより多くの注目を集めることが可能ですが、モバイル検索はPocketの数を増やします
Snapは最近、1株あたり24ドルの価格で株式公開したことで、今日最も広告のターゲットとして熱望されているミレニアル世代に達することが約束されたも同然の、成長しつつあるB2Cのマーケティング予算のシェアを獲得したといえます。
ネイティブ広告は、今年のディスプレイ広告市場全体の最大53%を占めると予想されています。
Facebookのブランドストーリー、Snapchatのフィルター、Buzzfeedのスポンサー広告は、すべてネイティブ広告の例です。これらはサイト運営者の自然なコンテンツのように見えますが、エンゲージメント率を上げるのに効果的なのです。なぜなら、人々はそのような広告に最も関心を向ける傾向があるからです。
同様に、いくつかの調査により、ユーザーは記事広告をクリックしたときに騙されたと感じることが明らかになっています。
ローカル検索広告は、GoogleマップやOpenTableなどとのアプリ内での統合により、簡単になりました。
たとえば、ユーザーは地図アプリケーション内でOpenTableを使用することで、Lyftを利用したり、レストランの予約をすることができます。
検索パートナーシップは、ベンダーは市場に容易に参入できて、パブリッシャーはモバイルエコシステムを構築することができるため、双方にとってWin-Winな関係を作り出しています。
WeChatの1ユーザーあたりの平均収入は7,000ドルを超え、現在は8,000以上のブランドがこのプラットフォームを使用しています。
ユーザーを確保して1つのアプリを継続的に利用させる方法としては、何と楽で効率的でしょうか。
結論
デジタルとオフラインの体験が相互に関連していくにつれて、新しいインタラクティブな広告フォーマットが登場し、「すべての人々の関心」という最も希少価値のあるマーケティング資産を捉えることができることが約束されました。
しかし、ミレニアル世代の買い物客へのマーケティングには依然として課題もあります。マーケティング担当者だけの仕事ではなく、エンジニア、データサイエンティスト、デザイナーの仕事にもなるでしょう。
テクノロジーを利用した1対1のブランド・コミュニケーションを拡大する一方で、思慮深いデザインにより消費者にとっての摩擦を減らすこと、文字通り、ボタンに触れるだけで簡単に購入できるようにすることが必要とされるでしょう。
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情報提供元:TechAcademyマガジン
記事名:「【トレンドを抑える!】ミレニアル世代へのモバイルマーケティングの実態とは」