映画『ペナルティループ』が新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサほか全国公開中です。

主人公が意図せずループに巻き込まれる従来のタイムループものとは違い、“主人公が復讐のループを自ら選択する”という過去に類を見ない設定を描いた本作。恋人を殺され、何度も復讐できるプログラム=“ペナルティループ”で復讐のループを否応なく繰り 返す青年・岩森を若葉竜也、岩森に繰り返し復讐される男・溝口を伊勢谷友介、岩森の恋人・唯を山下リオ、タイムループの謎を握るキーパーソンで『ドライブ・マイ・カー』のジン・デヨンが演じ、『人数の町』の荒木伸二監督がメガホンを取りました。

<ストーリー>「おはようございます。6 月 6 日、月曜日。晴れ。今日の花はアイリス。花言葉は” 希望”です」——岩森淳が朝 6 時に目覚める と、時計からいつもの声が聞こえてくる。岩森は身支度をして家を出て、最愛の恋人・砂原唯を殺めた溝口登を殺害し、疲労困憊で眠りにつく。 翌朝目覚めると周囲の様子は昨日のままで、溝口もなぜか生きている。そしてまた今日も、岩森は復讐を繰り返していく。

若葉さんと山下さんのお2人に作品についてお話しを伺いました。

――本作とても楽しく拝見させていただきました。とても攻めた内容になっていて、独特の映像美も魅力的でした。設定を聞いた時や、脚本を読んだ時にはまずどの様な印象を受けましたか?

若葉:この映画のオファーを頂いた時はコロナ禍の真っただ中で、エンタメ業界も映画界も、保守的になっていって、言葉一つでも揚げ足を取られるような状況でした。自分の中で怒りみたいなものがどんどんと蓄積されていって、何かを壊してしまいたいという衝動が膨れ上がっている時期でした。そんなときに、『ペナルティループ』の台本をいただいて、「こんなめちゃくちゃなことをしませんか」と言われているような気がしました。それで、同志がいてくれたというか、これだなと思って即決でした。

山下:私は、台本を読んだだけでは情報量が少なかったのでよく分からない部分も多くて。でも荒木さんが作るのなら面白そうだなと。この映像をまず私が見てみたいなと感じました。

――若葉さんは撮影前に監督とディスカッションする時間があったそうですね。

若葉:僕はそういう風に監督やスタッフさんと打ち合わせを組まれることが多いのですが、本作については情報の処理の仕方とか、「どこまで見せるか」を含めて精査しなきゃいけない事柄がいっぱいあって。決して監督と相違点があったわけではなくて、出口は同じ方向に見ながらも、どうやって情報を足さずに作っていくか、引き算で作っていけるか、みたいなことを話しました。

――おっしゃる通り、情報を出しすぎないという所が本作の魅力の一つでもあるなと感じました。

若葉:足そうと思えばいくらでも足せる内容なので、勇気を持って引いていくことが大事かなと。元々広告のお仕事をされていたっていうこともあって。予告編の作り方、様々なビジュアルの作り方が凄いなと思います。短い時間でいかに情報を見せて、ここは隠すというバランスに長けている方なので。

――山下さんは監督と何かお話をしましたか?

山下:オーディションで顔見せみたいな感じでお話をして、セリフの一部を読んだんですが、その時に私がヘッドフォンを首にかけていたのですが「ヘッドフォンっていいよね」って言われて。セリフや役柄のことではなくて、ヘッドフォンのことばかり言っていたので(笑)、なんかすごく独特な空気感を持った方でした。人間にすごく興味を持っているというか、視点が独特で頭が良い方なんだなって。

若葉:頭が良すぎて振り切れているんですよね。常に色々と考えていて、すごく知的なんですけど、知的が1周も2周も回って、おかしなことも言いますし。あまり会ったことの無いタイプの人でした。
どの監督さん、演出家の方もどこか逸脱しているところはあると思うのですが、荒木さんって東大出身で色々な仕事が出来たと思うのに、全部捨てて映画にのめり込んでいった方で。映画に取り込まれてしまった気味の悪さを感じて、そこが魅力的だなとも思いました。

山下:監督が手がけられた『人数の町』(2020)も拝見したのですが、女性の描き方が変わっていて面白くて。『ペナルティーループ』の中でもパフェをめっちゃ食べさせたり…。その特異さが面白いなって。発想の面白さとリアリティが絡み合う部分が凄いなと思いました。

――撮影では「こう演じてほしい」というオーダーはあったのですか?

山下:私は全く。

若葉:僕も無かったです。自由にやらせてもらって。

山下:一発OKが多かったので、これはウカウカしてられないぞ!と思いました(笑)。

若葉:おそらくキャスティングがカチっとハマったからだと思います。監督の中で「この人はこのくらい出せる」「こういう芝居をする」という先が見えているから、今回の場合は何も言わずに進んでいったのかなと。

――今回ご一緒して、若葉さんから見た山下さんのこんな所が素敵だなと思うところはどんなことですか。

若葉:緊張しいで不器用なところ。素敵だなと思います。

山下:笑い。

若葉:本当に。10年とか15年前の若い俳優さんと比べて、今って平均してみんなが超上手だと思うんですよ。それは、これだけ娯楽が増えて観るものが増えて、時代と共に変化していったからだと思うのですが、それって別に上手なだけで面白くないなと僕は思っていて。映画館にお金を払って、明瞭なセリフとか上手なお芝居を観たいわけじゃないですし、それよりも、セリフの言い方が綺麗でなかったとしても、魅力的な人物だったりとか、自分の感情が傷つくことを求めているので。そういう意味で(山下さんは)とても魅力的な俳優さんだと思います。

山下:……ありがとうございます、ありがとうございます。

若葉:照れ屋なんですよね。

山下:私も結構似たような答えになるんですけど、ちょっとでもカッコよく見せようとか、サービスってしようと思えば出来るし、それを求めている人もたくさんいるけど、それを選択しない人がいてもいい、その美しさってあると思っていて。若葉さんは「普通」を演じることが出来て、その普通ってなかなか出来ないからすごいなと。

若葉:僕はただ普通なんです。特別な才能があるとは自分でも思ってないし、普通なんですよね。

山下:それがそもそもすごいことなのですが、普通を表現出来ながらも、今回の映画の様に反骨心を持って作品を作り上げられる。そこが素晴らしいなと思います。

――素敵なお話をありがとうございます。本作で、岩森が溝口を何度も何度も殺害して、その度に2人に妙な連帯感が生まれていくというか、クスっとしてしまうシーンも多かったです。溝口役の伊勢谷友介さんとの撮影はいかがでしたか?

若葉:本を読んだ段階から、この映画は怖い話とか、復讐劇がメインの話ではなくて、喜劇なんだなと感じていました。

山下:本読みで皆さんとお会いしたときに、この2人(若葉さんと伊勢谷さん)合わなさそう!と思いつつ、アツいものを持っているようなところが共通しているのかも?と思って。気が付いたら、すごく仲良くなっていて。この2人の関係性がまさに岩森と溝口の雰囲気を作り上げているなと思いました。

若葉:伊勢谷さんって小学生みたいに元気なんですよ。現場に走り回っている小学生がいるみたい。この自由さって日本の俳優界に必要だなと僕は思いましたね。みんながスクエアで真面目なコメントばっかしている中で、ツルツルした世界の中で素直な自分を出してくれる人です。

――皆さんの表現に荒木監督の独特の世界観、たくさんの方の感想を見てみたいです。

若葉:映画を見終わった後、困る人も多いと思うんです。この気持ちをなんて言ったらいいんだろう、みたいな。「つまんねえ」と感じる人もいると思うし、それでもよくて、 映画の全てがハッピーエンドでカッコ良いものじゃなくていいじゃんって僕は思っているので。こういう映画があるから、そういう映画も存在して良いし、そういう映画があるんだから、こういう映画もあって良いでしょという。皆さんの素直な反応をいただけたら嬉しいです。

――今日は素敵なお話をありがとうございました!

『ペナルティループ』
脚本・監督:荒木伸二
出演:若葉竜也、伊勢谷友介、山下リオ、ジン・デヨン
配給:キノフィルムズ
製作:木下グループ
映倫:PG12
上映時間:99分
公式サイト:https://penalty-loop.jp 公式Twitter(@PenaltyLoopfilm):https://twitter.com/PenaltyLoopfilm
©2023『ペナルティループ』FILM PARTNERS

情報提供元:ガジェット通信
記事名:「『ペナルティループ』若葉竜也&山下リオ インタビュー「映画の全てがハッピーエンドでカッコ良いものじゃなくていいじゃん」