俳優、窪塚愛流さんと蒔田彩珠さんが主演を務める映画『ハピネス』が公開中です。

「私ね、あと1週間で死んじゃうの」 恋人の突然の告白からはじまった“ふたりの7日間”は、悲しいけれど、幸福と愛に満ちあふれた、かけがえのない奇跡だった──。 残り少ない日々を命の限り輝かせようとする少女と、そんな彼女の夢を全力で支えようと奔走する少年とが繰り広げる純度100%のラブストーリー。

本作で、国木田雪夫を演じた窪塚さんにお話を伺いました。

――本作とても楽しく拝見させていただきました。スクリーンの中での雪夫と由茉の姿が本当に美しくて尊かったです。この作品のお話を聞いた時はどの様なお気持ちでしたか?

まず、主演映画のお話が来ていますということを聞いた時には、「自分には出来ないです」って言いそうになりました。今でもそうですが、芝居に対して悩むことが多くて、自分が憧れていた年齢にいざなってみると、そこに追いついていない自分の実力にも気付かされて。でも、初めて脚本を読ませていただいた時にすごく素敵な作品だなと思って。そんな素敵な脚本に出会ったら、「自分には出来ない」と、自分で自分を卑下するということを俳優としてやっちゃダメなのかなと思いました。今は僕に声をかけていただけたこと、そしてチャレンジしようと思った自分にも感謝しています。

――素晴らしいですね。完成した作品をご覧になっていかがでしたか?

この映画の撮影の後、また別の作品に出演させていただいて芝居について知ることもありますし、色々な経験をしてきて、この時の僕とはまた違う今があるので、なかなか俯瞰して見られない部分もありました。自分のことなので「もっとこうすれば良かった」と悔やむ部分もあったのですが、お話がやっぱり素敵ですし、先ほど取材中に蒔田さんが「死に向き合うのではなくて、生きることに向き合う作品」とおっしゃられていて、本当にその通りだと思いました。

――本当にそうですね、由茉は最後までしっかりと生きている強い人だなと感じます。

由茉が「私は世界で1番ラッキーな女の子だよ」という言葉に対して、雪夫が「僕は世界で1番ラッキーな男の子だよ」という言葉で返しているのが、これが本当に素敵だなと思って泣いてしまいました。

――こんな言葉を言えるのって、世界中で何人いるんだろう?と思うほど、綺麗な言葉でした。

あとは自分が芝居をしていて見れていなかった家族愛の部分をしっかり感じることが出来て感動しました。橋本愛さんが演じる雪夫のお姉ちゃんから滲み出てくる愛情の部分が素晴らしくて。“ハピネス”って2人の恋愛だけではなくて、家族愛も込められているのだなと。“ハピネス”という言葉は人によって色々なとらえかたが出来ると思うので、たくさんの方の感想を聞かせて欲しいです。

――雪夫というキャラクターに魅力的に感じたところ、どう演じようと思ったかを教えてください。

彼女を想う力と願いを受け止める心の大きさ、懐の広さに感動しました。自分も雪夫みたいになれたらと考えました。自分が同じ状況になった時に、ここまで優しく受け止めることが出来ないかもしれないって。受け止めたい気持ちはあっても、受け止められないかもって。雪夫は等身大の高校生で、色々感情とのせめぎ合いがあったはずなのに見守る決断をした所がカッコ良いと思います。
演じる時に、監督には「優しさを大切にして欲しい」ということをまず言われました。この「優しさ」にも色々な種類があって、寄り添う優しさ、受け止める優しさ、包み込む優しさ。それを様々な方法で表現出来ればと思いました。

――眼差しがとても優しかったです。

脚本に書いてあることを理解していても、それをいざ自分が表現しようとした時に違う感情が生まれることってあるんです。僕は、最後のクライマックスのシーンで、どうしても心が持たないなと思いました。それで監督に「悲しすぎます。泣いてもいいですか?」と聞いたら「その悲しさを大切にして、涙は流さないで」と言われました。「どうしてですか?」と聞いたら、「涙を由茉の前では見せないのが雪夫の優しさと強さだから」と。涙が本当に出てしまいそうでこらえるのは大変でしたけれど、監督の言葉にたくさん導いていただきましたし、僕もそれが雪夫なのだと思います。

これまでは感情をそのまま出すことを大切にしていたのですが、グッとこらえてみたりとか、あえて真逆のことをしてみたりとか、そういう“矛盾”って演じる上で大切だなと感じました。言葉とは違う動きをするところが人間らしさでもあると思うし、『ハピネス』の現場で学んだことです。

――由茉というキャラクターにはどの様な魅力を感じましたか?

雪夫が持っていないものをたくさん持っているひと。由茉と雪夫が合体したら完璧な人間になると思います。でもそうではなくてお互いに無いものを補いあっているから素敵なんだなって。「良いコンビだよね」って蒔田さんともよく話していました。蒔田さんが由茉を演じてくださったからこそ、僕は雪夫になれたのだと本当に感謝しています。現場ではお芝居のこと以外は話してなくて、こうやってインタビュー取材など受けさせていただいてはじめて、愛犬や愛猫が大好きなことなどプライベートなことを知りました。撮影前に個人的な情報を入れていないことが、僕はすごく良かったなと思っていて、由茉と雪夫でいられたのだと思います。

――由茉と雪夫のデートシーンでのロリータファッションもすごく素敵でしたね。

ロリータに目覚めてはいないですけれど、とても楽しかったです。俳優という仕事をしていると色々な衣装を着て、メイクをしていただきますが、ロリータファッションは初めてでした。フリルをたくさんあしらっていて、ネクタイをつけて、いつもと違う衣装で大阪を歩いた時にすごく新鮮な気持ちになって。僕は地元が大阪なので馴染み深い街ではあるのですが、なんか観光客の1人のような気分になれて。ファッションって人を色々な所へ連れていってくれるものなんだって思って、改めてファッションの力を感じました。

――窪塚さんご自身はどの様なファッションが好きですか?

自分が好きなものを着たいなと思っています。流行りは一応知っておくけど振り回されない様に。最近は見えないところまでオシャレをしたいなと思っていて、例えば、長ズボンを履いて靴下があまり見えなくても、差し色として取り入れたり、すごくお気に入りの靴下を履いていれば気分も楽しいなって思います。

――「自分が好きなものを着る」まさに由茉の気持ちとも通じますね。今日は素敵なお話をどうもありがとうございました!

撮影:たむらとも
メイク:小嶋 克佳(TRON)
スタイリスト:上野健太郎


『ハピネス』全国上映中!
■配給:バンダイナムコフィルムワークス
(C)嶽本野ばら/小学館/「ハピネス」製作委員会

情報提供元:ガジェット通信
記事名:「映画『ハピネス』窪塚愛流インタビュー「言葉とは違う動きをするところが“人間らしさ”でもあると思う」