秋から年末にかけてのこれからの季節は、旬の味覚のものが多かったり、食事会の機会も増えたりと、なにかと脂っこい⾷事やアルコールの摂取量が増える季節です。そうなると気になってくるのが「中性脂肪」。中性脂肪は基準値を上回れば健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

そこで今回は、静岡県⽴総合病院リサーチサポートセンターの⽥中清先⽣に中性脂肪が増える原因や、中性脂肪対策に効果的な「フィッシュオイル」について話を聞いています。

⽥中清先⽣

中性脂肪について

中性脂肪はエネルギー源となるほか、体温の維持、脂溶性ビタミンや必須脂肪酸の吸収などの役割を果たす重要な成分。⼀⽅、過剰な中性脂肪は⼼⾎管疾患やメタボリックシンドロームのリスクを⾼めるなど、健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、適切なレベルに保つことが重要です。

中性脂肪を増やさないために⾒直したいのが⾷事の内容。炭⽔化物中⼼の⾷事を摂ると⾷後に⾎糖値が急上昇します。この時、⾎糖値を下げるためにインスリンというホルモンが分泌され⾎糖値は下がりますが、インスリンは中性脂肪の合成を促進してしまいます。

なかでも数値を上昇させる⼆⼤要因が⽢いものやアルコール。砂糖(ショ糖)はお⽶やパンなどのデンプンと⽐べ吸収が速いため、⾎糖値がより早く上昇します。 また、中性脂肪はアルコールを摂取すると⾼くなる性質を持っています。

中性脂肪に関する誤解

中性脂肪に関することで誤解されやすいのがフルーツに関すること。栄養素が⾼いことから野菜と同じような認識を持っている⼈も多いのですが、果糖により⽢みを出している果物は吸収が⾮常に早く、⾎糖値や中性脂肪を上昇させるので⾷べ過ぎには要注意です。

また、もう一つは揚げ物に関すること。中性脂肪を下げる為に揚げ物や脂っこい⾷事を避けるべきという声を⽿にしますが、脂質を減らしただけでは中性脂肪は下がりません。中性脂肪を上げる⼀番の理由は脂質そのものではなく、炭水化物、アルコール、カロリーの過剰摂取です。まずは摂取量を⾒直すことが⼤切です。

中性脂肪にはフィッシュオイルが効果的

中性脂肪を減らす為におすすめしたいのが「フィッシュオイル」です。 これは⻘⿂から抽出した油のことで、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)の脂肪酸が主成分です。

フィッシュオイルに含まれる EPA は⾎液をサラサラにし、⾎中の中性脂肪の上昇を抑える効果があります。さらに、EPA は脂質の代謝に作⽤して脂肪を燃焼しやすい体質を作ります。中性脂肪の増加による動脈硬化や脂質異常といった⽣活習慣病の改善に役⽴つ成分として、特定保健⽤⾷品や機能性表⽰⾷品にも利⽤されています。

⼤切なのは完全に油や脂質をカットするのではなく「良質の油を摂る」こと。フィッシュオイルは、サバ・サケ・マグロ・いわし・うなぎなどの脂の乗った⿂の⾝や内臓に豊富に含まれています。

魚から直接フィッシュオイルを摂る場合は「1 ⽇にサバ⽸ 1 ⽸」が⽬安といわれることが多く、⼿軽に購⼊できるのが「しめ鯖」です。しめ鯖は加熱をしていないのでオメガ3の酸化や損失が無く効率的に摂取ができます。加えてお酢によって、たんぱく質の吸収をしやすくなるので、⾼齢者でも胃腸に負担をかけずに摂取が可能です。

また、⿂や油を食事で必要量摂ることが難しい⽅は⼿軽に摂れるサプリメントで補うことも⼀つの⽅法です。

▲EPA を多く含む⿂

▲DHA を多く含む⿂

フィッシュオイル摂取における注意事項

フィッシュオイルの摂りすぎは「⾎液がサラサラになりすぎて出⾎が⽌まらなくなる」など、体に悪影響を与えてしまう可能性があります。

また、フィッシュオイルの EPA や DHA が属するオメガ3脂肪酸と同じく、多価不飽和脂肪酸で重要な働きをするオメガ 6 脂肪酸は⽩⾎球を活性化するのに対し、オメガ3は逆に⽩⾎球の働きを抑制、炎症を抑えるなど、正反対の役割を担っています。

オメガ 3 とオメガ 6 の割合は、1︓4 の⽐率が良いとされていますが、実情は1:14 とオメガ 6 の割合が⾼く、オメガ3を意識的に摂取しても効果を得られない場合があります。オメガ6の摂取量を減らすなど、バランスを調整することも⼤切です。

 

いかがだったでしょうか。今回は静岡県⽴総合病院リサーチサポートセンターの⽥中清先⽣に、中性脂肪が⾼くなる原因やフィッシュオイルの効果について話を伺いました。毎日の食事にうまくフィッシュオイルを取り入れて中性脂肪の対策をしていきましょう。

情報提供元:マガジンサミット
記事名:「食欲の秋に気を付けたい中性脂肪!専門家に聞いた中性脂肪撃退に効果的な「フィッシュオイル」の効果とは