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今年で30回目を迎えるTampa AM(タンパアマ)が11月10日(現地時間)に開催され、韓国のジュニ・カン(16歳)が優勝。韓国勢では初めてとなるタンパアマ制覇という大快挙とともにタンパの長い歴史に新たな1ページを刻んだ。
準優勝は長井太雅(17歳)、3位は2年連続で藪下桃平(15歳)がそれぞれ表彰台入りした。
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7日木曜日に開催されたボウルジャムでは草木ひなのが3位、男子に交じっての出場にも関わらず、ウォールプラントなどでしっかり爪痕を残した。
さらに9日土曜日に開催されたコンクリートジャムではバックサイド540やサランラップテールなどを決め準優勝!
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この日のコンクリートジャムでは、他にも志治群青がOJギャップドアベストトリックを受賞するなど、日本を代表するパークスケーターがタンパアマのボウル種目でも結果を残した。
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同じく9日土曜日に開催されたインディペンデント・ベストトリックでは、長井太雅がロングキンクレールでビッグスピン フロントサイドハリケーングラインドを決めて優勝!
この日、MOB catch of the day賞を八島璃央が獲得。
【韓国勢大ブレイクの予感】
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今年のタンパアマはまさに韓国勢が大躍進を果たした年だった。
今大会優勝したジュニ・カン(16歳)は予選をトップで通過し、決勝へ進出。彼は昨年、決勝進出は逃したもののノーリーバックサイド270ボードスライド270アウトを決めていたのがとても印象に残っていたが、今年はさらにパワーアップし、ノーリートリックだけでなく、バンプtoハバレッジでのバックサイドノーズブラントなどハンマーも交えたトリック構成で、しっかりタンパアマに標準を合わせにきていた。
他にも、日本にゆかりを持つジャン・イス(お母さんが日本人の14歳)がラストチャンスオープン(予備予選)をトップ通過するなど、韓国のネクスト世代も結果を残しており、今後はオリンピックシーンなどにも韓国勢が名乗りを上げてくるだろう。
さらに気になったのが、インディペンデント・ベストトリック2位を獲得した、ペルーのデイヴィッド・トゥエスタ(22歳)。
彼が見せたノーリーバックサイド270ヒールフリップボードスライドは、堀米雄斗が昨年Nike SBダンクのシグネチャーモデル発売に合わせて発表されたパート映像のエンダーを飾った前人未到のトリック。これをコンテストで見たのは初めてだった。
【タンパアマ2024決勝上位3人のランを徹底解析!】
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決勝1本目、まずフルメイクでリードしたのは昨年3位の藪下桃平だった。
以下藪下のラン1本目のトリック。
※[]内はセクション名
[バンプtoギャップ越えハバ]アーリーウープからのフロントサイド180フェイキー50-50グラインド。
[バンプtoダウンレール]アーリーウープからのフロントサイド270ボードスライド。
[レールtoバンク]キックフリップバックサイドリップスライド。
[ユーロギャップ]360キックフリップ。
[ダウンレール]バックサイドシュガーケーングラインド。
[ダウンレール]ハードフリップバックサイドリップスライド。
[ダウンレール]ビガースピンフリップ フロントサイドボードスライド。
[バンプtoダウンレール]キャバレリアル バックサイドリップスライド。
[バンプtoバンプ]フロントサイドキックフリップ。
2年連続での表彰台入りを引き寄せるランで、決勝をリードする。
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ラン2本目はスウェーデンの19歳、クリストファー・クルーンがレイトショービット フロントサイドボードスライドといったオリジナリティあふれるランを見せる中、今年フェニックスアマ2024を制し、タンパアマも制すれば国際的なアマチュアコンテスト完全制覇となる長井や、昨年タンパアマ準優勝で今年9月の世界選手権イタリア大会を制している世界王者の佐々木音憧ら優勝候補がまさかの2本目までフルメイクできない展開。
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迎えた3本目。
長井、緊張のラストランはこれまでの2本とは打って変わって快心のフルメイクを見せる。
以下、長井ラン3本目のトリック
[バンプtoロングレール]スイッチバーレーグラインド。
[クウォーターのコーナー]バックサイドフィーブルグラインド フェイキー。
[バンプtoダウンレール]ハーフキャブバックサイドノーズグラインド。
[クウォーターパイプ]トランスファーからのフロントサイドノーズグラインド。
[ユーロギャップ]360キックフリップ。
[ダウンレール]スイッチフロントサイド270ボードスライド。
[クウォーターパイプ]フロントサイドノーズブラントストール。
[バンプtoレール]バーレーグラインドリバート。
[ダウンレール]ビッグスピンブラントスライド ショービットアウト。
[クウォーターパイプ]フロントサイドスミスグラインド。
[バンプtoロングレール]バックサイド180ノーズグラインドリバート。
[バンプtoダウンレール]バックサイド270ノーズブラントスライド270アウト。
60秒のラン終了後も勢いそのままに、ビッグスピンフロントサイドボードスライド、ビガースピンフリップ フロントサイドボードスライドを決めて会場を盛り上げると、現地実況も「チョーヤバイ」を連呼。
アマチュアコンテスト完全制覇かと思わせるランを見せた。
直後の八島もラストトリックまでは完璧なランを見せるも、最後のバンプtoバンプ全越えのハードフリップバックサイド180を惜しくも失敗。
佐々木の3本目。
2本続けて外してしまっているバンプtoダウンレールでのノーリーフロントサイド270ノーズブラントスライドを、ノーリーフロントサイド270リップスライドに変えてフルメイクを狙うも、ラストトリックのバンプtoバンプでの360キックフリップをまさかのミス。
残念ながら3本ともフルメイクの滑りを見せることなく、現世界王者が今年のタンパアマを終えた。
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決勝最終滑走者となる、韓国のジュニ・カン。
これまで2本ともフルメイクを見せていない中迎える3本目のランで驚異的なトリックを見せる。
以下、ジュニ・カンのラン3本目のトリック。
[ギャップtoハバレッジ]バックサイドノーズブラントスライド。
[バンプtoダウンレール]ノーリービッグスピン バックサイドリップスライド。
[ユーロギャップ]360キックフリップ。
[ハバレッジ]スイッチ180 バックサイドKグラインド。
[バンプtoレッジ]ノーリバックサイドKグラインド。
[バンプtoレール]フロントサイドKグラインド。
[ダウンレール]フロントサイドブラントスライド キックフリップフェイキーアウト。
[バンプtoレール]ノーリーバックサイド270ボードスライド。
[バンプtoダウンレール]ノーリーバックサイド270ヒールフリップボードスライド。
最後は堀米雄斗が昨年Nike SBダンクのパート映像で世界に初披露した技、ノーリーバックサイド270ヒールフリップボードスライドを世界で初めてランに組み込みフルメイク。
60秒のラン終了後も、ノーリーバックサイド270ボードスライド270アウトを披露するなど、会場はこの日一番の盛り上がりを見せた。
そして何より、昨日のベストトリックでのデイヴィッド・トゥエスタに続き、堀米雄斗以外のスケーターが2人も、それも堀米より先に大会でノーリーバックサイド270ヒールフリップボードスライドを決めてしまったことに大きな驚きの後、すぐに唖然としてしまった。
【世界的なプロになるために】
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タンパアマはプロを目指すスケーターにとって世界で最も重要で歴史のあるコンテストと言われており、毎年フロリダ州にあるスケートパーク・オブ・タンパで開催されている。
タンパアマに出場するにはいくつかルートがある。
金曜日に行われるラストチャンスオープン(予備予選)は以下のいずれか1つに当てはまれば出場資格が与えられる(150人)。
・ラストチャンスオープンのトップ10入りしたことがある
・タンパアマ予選に出場できるレベルだとわかる1分間の映像があるか
・世界的に知られているスケートカンパニーからのスポンサーがついているか。
・Damn AmまたはTampa Amで好成績を収めたことがあるか。
・国際的なアマチュアトップとして認められているか。
→1位は日曜日の準決勝進出。
→2位から20位は土曜日の予選進出。
土曜日に行われる予選は以下のいずれか1つに当てはまれば出場資格が与えられる(100人)。
・ラストチャンスオープンの2位から20位。
・Damn Am2024シリーズの2位から12位。
・世界的に知られているスケートカンパニーからのスポンサーがついている。
・国際的なアマチュアトップとして認められているか。
・AJSA2024プロ戦(2大会)のポイントランキング上位4名(※今年はDamn Amジャパンが開催されなかったため)
→1位と2位は日曜日の決勝進出。
→3位から30位は日曜日の準決勝進出。
日曜日に行われる準決勝は以下のスケーターが出場。
・ラストチャンスオープン予選1位
・Dam Am2024シリーズ優勝者
・土曜日予選の3位から30位
→トップ10人が決勝へ
決勝は以下のスケーターが出場(12名)。
・土曜日の予選1位と2位
・準決勝トップ10人。
→今年特別枠となるAJSAプロ戦での出場枠以外、多少の違いはあるが、基本的に毎年同じフォーマットで開催されている。
【タンパアマの過去の優勝者に並ぶそうそうたる主なメンツは以下の通り】
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ドニー・バーリー(1996年)
ナイジャ・ヒューストン(2005年、この時10歳)
フェリペ・グスタヴォ(2007年)
ライアン・ディセンゾ(2008)
ルアン・オリベイラ(2008年/2009年)
※2008年はスケジュールの都合で1月と12月に2回開催されている。
ジャガー・イートン(2014年)
オーレリアン・ジロー(2015年)
ダショーン・ジョーダン(2016年)
グスタボ・リベイロ(2017年)
池田大亮(2018年)
根附海龍(2019年)
青木勇貴斗(2021年)
池田大暉(2022年)
など、今ではオリンピックやストリートリーグの常連となった顔ぶれが並んでいることがわかる。
ちなみにタンパプロのチャンピオンからはエリック・コストンやジェイミー・フォイといったSOTY(Thrasher Magazineから毎年選出されるスケーター・オブ・ザ・イヤー)が出ているが、歴代タンパアマのチャンピオンからはSOTYはまだ出ていない。
【タンパアマ日本勢の軌跡】
今年のタンパアマは6名の日本人が決勝に進出。
以下、過去5大会との比較。
2018年の予選出場者は15人、準決勝進出は6人、決勝進出は2人(池田大亮が優勝)。
2019年の予選出場者は14人、準決勝進出は4人、決勝進出は3人(根附海龍が優勝)。
2021年の予選出場者は21人、準決勝進出は10人、決勝進出は5人(青木勇貴斗が優勝)。
2022年の予選出場者は18人、準決勝進出は12人、決勝進出者は7人(池田大暉が優勝)。
2023年の予選進出者は21人、準決勝進出は12人、決勝進出者は7人(レーザー・クロフォードが優勝)
今年の予選進出者は25人、準決勝進出は13人、決勝進出は6人。
※ちなみに佐々木音憧は2021年から4年連続決勝進出、藪下桃平は2022年から3年連続。
佐々木兄弟の兄、佐々木来夢も今年決勝に進出すれば弟と同じく4年連続だったが準決勝11位でわずかに届かなった。
【Tampa AM2024日本勢の結果は】
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金曜日に行われたラストチャンスオープン(予備予選)は日本にもゆかりを持つ韓国籍のスケーター、ジャン・イスが見事トップ通過。
今年は20人までが土曜日の予選に通過でき、日本勢は4名がトップ20入り。
注目は女子で唯一トップ10に食い込んだ伊藤美優、ステアでのハードフリップやバンプtoレールでフロントサイドブラントスライド ビッグスピンアウトなどを見せて堂々の10位。
他にも女子は杉本二湖が36位と健闘した。
土曜日予選はこちらも韓国勢のジュニ・カンがトップ通過。堀米雄斗を彷彿とさせる、ノーリーバックサイド270ノーズスライドや、ノーリーバックサイド270ボードスライドから270アウトなどを決めて94.00点でダントツのトップ通過となった。
2位は佐々木音憧で、メインセクションのバンプtoダウンレールで、キャバレリアルノーズブラントスライドなどのトリックを決め90.94点で2位通過。
この2人が決勝進出を決めた。2位から6位までは全て日本勢となった。
日曜日の準決勝は八島璃央がハードフリップやスイッチヒールフリップ、フロントサイドシュガーケーングラインド、最後にはバンクtoダウンレールでキックフリップフロントサイドノーズグラインドを決め2位通過。
1本目ではクォーターに上がる際にデッキをキャッチミスしてしまうアクシデントがあったが2本目ではしっかりフルメイクの滑りを見せた。
3位は2本ともノーミスのランを見せた長井太雅。
4位は笑顔&テクニカルな滑りで魅了する山附明夢、6位は昨年3位に入った藪下桃平、7位には松本浬璃が食い込み、それぞれ決勝進出を果たした。
【ラストチャンスオープン(予備予選)リザルト】
ラストチャンスオープンの映像
(YouTubehttps://youtu.be/oxvHoVL_YOo?si=3Lei8e4QVNcUyJWS)
3位・栗栖 悠 5位・村上 涼夏 6位・佐藤 遥希 10位・伊藤 美優 22位・川村 禅琳 25位・繁延 亜周 27位・酒井 太陽 28位・堤 淳平 36位・杉本 二湖 53位・小鈴 祥大 58位・北山 委治 60位・菅原 悠翔 63位・島崎 健太 93位・谷本 零和 (133人中)
・3人1組、3分間のジャムセッション。1位は準決勝へ進み、2位から20位は予選へ。
【予選リザルト】
予選とベストトリックの映像
(YouTube:https://www.youtube.com/live/sgP8iZgqFkM?si=4Rlkj1NsT-Gk5x4K)
2位・佐々木 音憧 3位・長井 太雅 4位・長谷川 絢之介 5位・八島 璃央 6位・藪下 桃平 8位・松本 浬璃 10位・酒井 太陽 15位・渡邊 星那 16位・山附 明夢 20位・齋藤 吟平 24位・齋藤 丈太郎 26位・佐々木 来夢 27位・村上 涼夏 28位・安部 来夢 35位・高橋 泰雅 38位・甲斐 穂澄 42位・栗栖 悠 56位・平田 琉翔 62位・佐藤 遥希 65位・犬川 空汰 72位・川村 禅琳 73位・曽根 紘太郎 78位・伊藤 美優 83位・堤 淳平 87位・繁延 亜周 (99人中)
・2人1組、3分間のジャムセッション。1位と2位は決勝へ、3位から30位は準決勝へ。
【準決勝リザルト】
(https://www.youtube.com/live/zPaKMJcOq_I?si=ZixXOnp_ikimmLIL)
2位・八島 璃央 3位・長井 太雅 4位・山附 明夢 6位・藪下 桃平 7位・松本 浬璃 11位・佐々木 来夢 12位・長谷川 絢之介 16位・安部 来夢 18位・村上 涼夏 19位・齋藤 吟平 26位・渡邊 星那 28位・酒井 太陽 30位・齋藤 丈太郎 (33人中)
・ラストチャンスオープン1位のスケーター、各地で行われたDamn AM2024優勝者と予選から勝ち上がった28名が参加。1分間のランを2本行い、ベストランで順位が決まる。
※上位10名が決勝へ進出。
【Tampa Am2024決勝リザルト】
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1位・Juni Kang(韓国)
2位・長井 太雅
3位・藪下 桃平
4位・Kristoffer“Koffe”Kroon(スウェーデン)
5位・松本 浬璃
6位・Max Berguin(フランス)
7位・Julian Jeang-Agliardi(アメリカ)
8位・佐々木 音憧
9位・八島 璃央
10位・Abner Pietro(ブラジル)
11位・山附 明夢
12位・Roman Hager(アメリカ)
・予選1位と2位通過者、準決勝上位10名の計12人。1分間のランを3本行い、ベストランで順位が決定する。
【Tampa Am2024ベストトリック】
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1位・長井 太雅 ビッグスピン フロントサイドハリケーングラインド
2位・Deivid Tuesta(ペルー)ノーリーバックサイド270ヒールフリップボードスライド
3位・Lawrence Ravail(フランス)スイッチフロントサイドキックフリップ バックサイドKグラインド
4位・Joao Lucas Alves(ブラジル)スイッチ360フリップ バックサイドノーズスライド
5位・栗栖 悠 ヒールフリップ レイトバックサイドビッグスピン
文・小嶋勝美
スケートボード放送作家のスケーター。
情報提供元:マガジンサミット
記事名:「【TAMPA AM2024】韓国のジュニ・カンが優勝の大快挙!長井太雅が準優勝、3位は藪下桃平 上位3人のランを徹底解析」