株式会社風ひらくは、サービスやブランドの立ち上げ・刷新、新事業のコンセプト策定、マーケティング、広報、ブランディング戦略の構築を通じて、中小企業や個人事業主が個性をひらくことを支援する企業である。同社代表取締役の青野まさみ氏に、起業の経緯、個性をひらくことの意義やその方法、さらに今後の展望について話を聞いた。

人と違うことは、唯一無二であり、素晴らしい価値がある 

私にとって「個性を大切にしながら、好きなことをして生きていく」ことは、ごく自然で当たり前のことでした。祖父母は面白そうという理由で釣り堀を始め、それに合わせてレストランや宿泊施設を開業し、アパート経営にも手を広げました。両親は旅館経営をしていましたが、私が幼い時に鞍替えして、建設会社に就職。その後、独立して建築会社を経営するようになりました。このように、家族全員が自分の好きなことをして生きている環境で私は育ちました。

その後小学生のとき、父の仕事の都合で東京に引っ越すことになりました。新しい学校には、大臣の甥っ子や医者一家の娘などのいわゆるエリート一家の人たち、サラリーマン家庭の人たちが多かったので、両親が泥臭く自営業をしている私の価値観は「変わっているよね。」と言われる体験をしました。普通、「変わっている」と言われるとネガティブに捉えがちかと思うのですが、私の親はむしろそれを喜び「変わっているということは、ユニークで唯一無二ということ。他にはない存在というのは素晴らしいことだよ」と、言われていたのを覚えています。

しかし、成長するにつれて、自分の家庭環境と世間とのギャップに気づくようになり、だんだんと生きづらさを感じるようになりました。偏差値の高い大学への進学を目指し、興味の持てない勉強をすることや、公務員になれば・大企業に入れば安泰という考え方に違和感を覚えましたが、それを周りに話しても賛同されない環境。自分らしく生きることが許されないと感じて、フラストレーションを感じていました。

この積もったフラストレーションが、いま私が「組織や個人の個性をひらく」というミッションを掲げ仕事に情熱を持つ原動力になっていると思います。

個性をひらくことで、人生もビジネスも好転する 

「自分ならではの個性」と言われても、思い浮かばない方が多いかもしれません。しかし、過去に誰かから「あなたのこんなところがすごい」と褒められたことはありませんか?自覚していないからこそ、他人に褒められても「そんなことないよ」「買い被りだよ」と感じることも多いものです。実は

「他人が気付く強みだけど、自分は気づいていない部分」にこそ、あなたの個性や強みが隠されていると思います。褒められるということは、それだけ誰かに影響を与え、感動させたということ。それは非常に価値の高いことなのです。自分の価値を素直に認めることで、無理なく自分らしい生き方ができるようになると考えています。

弊社では、約一年をかけて、ワークや対話を通じて「自分らしい価値」に気づくためのカリキュラムを提供しています。自己と向き合い、じっくりと自分の強みを棚卸しすることで、自分自身の個性が明確になっていきます。そして、その個性を軸にして、SNSでの発信やマーケティング、セールス、キャッチコピー制作などに生かすことができます。こうして、あなただけのオリジナルなコンテンツが生まれます。経験が浅い、知識が少ないということは関係ありません。あなただからこそ提供できる価値が、必ず存在しています。

その価値を一緒に見つけ、それを世の中に発信していくお手伝いをすることが、私の生きがいです。拙著「あなたのお客さまにささるネーミングのヒント」では、ネーミングを通して自分と向き合うための方程式を具体事例とともに紹介しています。ぜひ、気軽にお手に取っていただければ幸いです。

多くの人の個性をひらき、日本にポジティブな循環を生み出す

人は自分の能力に無自覚であり、多くの可能性を使いこなせていません。しかし、使いこなせていない部分を数パーセントでも引き出せれば、好きなことをして自由にのびのびと生きられる人材になれる。そんな人を増やすお手伝いをしたいと考えています。現在、講座やコンサルティングをメインに活動していますが、今後は教育プログラムを開発し、スクールを運営することで、より多くの方々の個性や才能の開花に携わりたいと考えています。

学生時代に自分らしさを発揮できないと葛藤していた経験を生かし、学生たちの個を尊重し、肯定する場を提供できればと思っていますし、2024年から役員として参画している別会社では、中小企業で働く社長や幹部の能力開発をメインとする事業を展開しています。日本の99.1%の会社は中小企業です(2024年時点)。そこで働く人々を支援することは、日本をより良い国にするための重要な一歩だと考えています。

中小企業で働く人を支援し、事業が伸びて仕事が増えれば、その企業と提携している個人事業主の仕事も増える。そこで、企業と個人事業主のマッチングサービスを提供すれば、ポジティブな循環を生み出すこともできます。あらゆる角度から日本で働く人々が生き生きと過ごせることをサポートし、「個性を尊重することが当たり前」というカルチャー醸成の一助となれば、と願っています。

取材協力: 
青野まさみ(株式会社風ひらく代表取締役) 
https://kazehiraku.com/ 
著書「あなたのお客さまにささるネーミングのヒント」

情報提供元:マガジンサミット
記事名:「あなたにしかできないことがある。個性をひらき自分らしく生きるが当たり前の社会へ