※白井空良/ラストトリックを決めた瞬間

世界中から厳選されたトップスケーターのみが出場できる世界最高峰のスケートボードコンテスト、ストリートリーグ“Street League Skateboarding(略してSLSと呼ばれる)”が11月23日に有明アリーナで開催され、男子は白井空良(23歳)が10月のシドニー大会に続いて連勝。
昨年のSLS東京大会を制した堀米雄斗(25歳)が準優勝で日本勢によるワンツーフィニッシュを飾り、3位にはアメリカのクリス・ジョスリン(28歳)が表彰台入りした。

女子はブラジルのライッサ・レアウ(16歳)が優勝し、SLS通算11勝目。
準優勝は赤間凛音(15歳)となり、吉沢恋(15歳)が3位でSLS初の表彰台入りを果たした。
日本勢では他にも上村葵(15歳)が5位、織田夢海(18歳)が6位に入賞している。

今大会のコースはとにかくメインセクションのダブルセットステアの距離が長く、ハンドレールの角度が緩くて長いのが特徴で、スケーターによっては明暗がハッキリと分かれるコースとなった。

SLS東京大会は昨年、アジア初開催(2023年8月12日)となり男子は地元、堀米雄斗が優勝。
女子はオーストラリアのクロエ・コベルに逆転を喫したが、西矢椛がSLS初優勝まであと一歩というところまで迫るなど、日本で開催されたスケートボードコンテスト史上、類を見ないほどの展開に。

今年はSLS最多優勝回数(合計26回)を誇るナイジャ・ヒューストンが欠場という少し寂しい所もあったが、昨年に負けず歴史に残る内容となった。

【SLS 2024ルールと気になるスーパークラウン】

●SLSは45秒間自由にコース内を滑走するライン(五輪で言うところのラン)を2本と、コース内の自由な場所で1発技を行うシングルトリック(五輪で言うところのベストトリック)を5本行い、最終的にラインとシングルトリック上位4本の合計得点で順位が争われる(1トライにつき10点満点で採点)。

※ ラインのスコアは最大でも1つのみのカウントとなり、オリンピックのように必ずカウントされるわけではないため(五輪はラン2本中、必ず1本が合計得点にカウントされる)ラインをミスしてもシングルトリックで逆転が可能。
※ 9点台の得点はナインクラブと呼ばれ、賞賛される。

●判定は「達成度」「難易度」「多様性」「独自性とスタイル」こちらの要素を基準とした総合的な判断により行われ、5名のジャッジが10点満点方式で採点。
1つのトライに対して、最高得点と最低得点を除いた3つの得点の平均点で得点が算出される。

●KNOCKOUT ROUNDと銘打った予選から開始され、男子は20名のスケーターが4つのグループに分かれて参戦。
各グループの勝者と、グループ勝者を除いた全体の1位と2位(セカンドチャンス)が決勝に進出。

女子は10名のスケーターが2つのグループに分かれて予選ラウンドを行い、各組上位3名を合わせた合計6人で決勝が行われる。

●気になる今後のスケジュールは12月14日から15日にかけて、今年の総合優勝者を決めるスーパークラウン(世界選手権)がブラジルのサンパウロで予定されている(11月24日時点)。
スーパークラウンは、日本の堀米雄斗がいまだ一度も手にしていないタイトルとなる。

ストリートリーグ東京大会はフジテレビが運営する動画配信サービスFODで、日本語実況が配信されているのでFODに加入されている方はこちらもぜひチェックしてみてください。
https://fod.fujitv.co.jp/title/f0gl/f0gl110006/

【熾烈なノックアウトラウンド】

SLS2024東京大会ノックアウトラウンドの映像

 

【女子予選グループ1】

中山楓奈/フロントサイドKグラインド

女子の予選(ノックアウトラウンド)第1グループには、今年10月のシドニー大会でSLSデビューを果たしたパリオリンピック金メダリストの吉沢恋と、東京オリンピック銅メダリストで前回のSLSシドニー大会3位の中山楓奈。
パリオリンピック銀メダリストで、前回のシドニー大会2位、そして3月のAPEX1(シングルトリックのみの大会)優勝者の赤間凛音が出場。

海外勢はSLS女子最多優勝回数を誇るブラジルのライッサ・レアウと、アメリカのマライア・デュランが出場した。
パッと並べた経歴だけ見ても、予選で上位3名に入るのが相当困難なことがうかがえる。

ライッサがラインでヒヤッとする転倒するがあったものの、4位で迎えたシングルトリック最後ではハバレッジでバックサイドテールスライドを決め、首位通過。

最終滑走前に4位に後退した吉沢も、ラスト5本目ではしっかりフロントサイドボードスライドを決め、シングルトリックを3本揃え3位につける。

赤間はミスのない安定した滑りを見せ、2位で予選通過。
ラインでミスが目立ち、高得点を揃えることのできなかった中山とマライアが予選敗退となった。

【女子予選グループ2】

織田夢海/キックフリップ

女子の予選第2グループには、東京オリンピック金メダリストの西矢椛。

去年の東京大会優勝者であり、先月のシドニー大会でも優勝しているオーストラリアのクロエ・コベル。そして日本選手権2連覇中の織田夢海に加え、元々出場予定だったアメリカのペイジ・ハインが怪我で欠場した代わりに出場が決まった上村葵。

大会前日、オランダのロース・ズウェツロート欠場に変わって急遽招待を受けた藤澤虹々可が登場。今大会は女子出場者10人中7人が日本人となった。

ラインで6.8点を獲得し優位に試合を進めたクロエが、シングルトリックでもニコンサイン越えのキックフリップや、ハバレッジでバックサイドスミスグラインドなどを決めて首位通過。

メインセクションに比べたら小さめのダウンレールで、キックフリップフロントサイドフィーブルグラインドなどを決めた織田夢海が2位。
ラインでベネットグラインドなどを決めた上村葵が3位で予選通過。

西矢椛/サラダグラインド

西矢はバンプtoダブルサイドレッジのビッグセクションを攻めていたが、ライン、シングルトリックともに得点が伸びず、ラストトリックではバンプtoレールでバックサイドKグラインドからのノーリーヒールフリップアウトを狙うも残念ながら失敗してしまい、予選敗退となった。

緊急参戦の藤澤は前日練習に到着する時間もギリギリとなり、明らかに調整が間に合っていないにも関わらず、果敢にバックサイドポップショービットからの50-50グラインドを狙うなどして、最後まで攻めのスケートを見せてくれた。

【男子予選グループ1】

池田大暉/ハードフリップ

男子の予選第1グループには、アメリカからダショーン・ジョーダン、ジェイミー・フォイが登場。そして昨年のSLS東京大会準優勝の池田大暉、ブラジルのフェリペ・グスタボ、フランスのヴィンセント・ミルーが出場。

池田はライン2本目、ハンドレールでバックサイドノーズブラント、バンプtoギャップでバックサイド360、ニコンサイン越えのハードフリップなどをフルメイク(ノーミスで滑りきること)すると8.3点を獲得。シングルトリックでも、ダブルセットのステアをハードフリップ(8.9点)やハバレッジでハーフキャブノーズスライドからバックサイドテールスライドにかけかえる技(8.8点)を見せるが、トリックを4本揃えることができずに予選敗退。

このグループはスイッチトリックを中心にラインで9クラブ(9.0点)を出し、シングルトリックでも順調に8点台の得点を重ねたフェリペ・グスタボが制した。

【男子予選グループ2】

ライアン・デセンゾ/フロントサイド360

予選第2グループにはカナダのライアン・デセンゾ、今大会最年長の39歳プエルトリコのマニー・サンティアゴ、金髪から黒髪に戻しイメチェンした根附海龍、ポルトガルのグスタボ・リベイロ、ブラジルのジオバンニ・ビアンナが出場。

根附はラインで得意のヒールフリップ系のトリックを中心に素晴らしい滑りを見せるが、フルメイクの滑りをすることができず(7.5点)シングルトリックに臨む。ニコンサイン越えのセクションで得意のレイトバックサイドビッグスピンを狙うも、この日は調子が悪かったのか3本続けてミスしてしまう。

なんとか4本目には決めたが、最終的にトリックを4本揃えることができず、予選で姿を消した。

海外勢ではライアン・デセンゾが、ライン1本目にバンプtoギャップでフロントサイド360オーリーやニコンサイン越えのフロントサイドキックフリップなどを決め8.0点を獲得。

シングルトリックではダブルセットのステアで、フロントサイドキックフリップ(8.8点)、ニコンサイン越えのフェイキーキックフリップ(8.4点)、最後にニコンサイン越えのフロントサイド360オーリー(7.5点)を決め、ジオバンニに0.3点差の32.7点で決勝進出を決めた。

やはりこのルールは滑走の順番も肝になると痛感する展開だった。

マニー・サンティアゴ/ビッグスピンヒールフリップ ボードスライド

今大会最年長のマニーもビッグスピンヒールフリップ ボードスライド(バリアルヒールフリップからのバックサイドボードスライド)を決め(8.6点)るなど、会場を盛り上げた。

【男子予選グループ3】

白井空良/サムライソードポーズ

予選第3グループにはブラジルからカルロス・リベイロとケルビン・ホフラー、アメリカからアレックス・ミドラーとブレイデン・ホーバン、そして前回10月のシドニー大会でSLS初優勝を飾った日本の白井空良が出場。

白井は1本目のラインでフルメイクの滑りを見せると9クラブ(9.1点)を獲得し、早速サムライソードポーズを見せる。
シングルトリックでは1本目から、ハバレッジでアーリーウープからのフロントサイド180フェイキー5-0グラインド(通称ソラグラインド)を見せ9.2点。
2本目にハンドレールで、キャバレリアルバックサイドテールスライドを決め8.9点。
4本目にハンドレールで、フロントサイド180スイッチKグラインドを決め8.1点を獲得。合計35.3点でこのグループを制する。

白井には及ばなかったが、アレックスがギャップtoレールでフロント&バックサイドのノーズブラントスライドやバックサイドテールスライドを決め、合計34.2点でセカンドチャンスでの出場を近づける。

【男子予選グループ4】

堀米雄斗/バックサイドテールスライド

予選第4グループにはオーストラリアのシェーン・オニール、アメリカから昨年のスケーター・オブ・ザ・イヤーを獲得したマイルス・シルバスとクリス・ジョスリン。

ブラジルのフィリペ・モタ。

そして昨年のSLS東京大会優勝者であり、オリンピック2連覇の堀米雄斗が出場。
このグループは前日練習から風邪で体調を崩している堀米と、この日神がかっていたジョスリンによる一騎打ちの展開になる。

堀米はライン1本目にバンプtoハイレッジで、バックサイドテールスライドや、ハンドレールでスイッチバックサイドリップスライドなどフルメイクの滑りを見せると、8.5点を獲得。

しかしジョスリンの2本目。

バンプからビガースピンフリップや、バンプtoギャップでバックサイド360、バンプtoレールで360キックフリップ リップスライド、ニコンサイン越えのスイッチヒールフリップなどを決め8.7点を獲得。
このグループのラインセクション首位でシングルトリックに臨む。

クリス・ジョスリン/360キックフリップ

シングルトリック1本目、堀米はハンドレールでノーリーフロントサイド270ボードスライドをメイクし8.9点。直後のジョスリンがダブルセットのステアで360フリップを決め9クラブ(9.0点)。

シングルトリック2本目は堀米がハバレッジで、スイッチフロントサイド180Kグラインドを狙うも捻りが足りずテールスライドに(5.7点)。ジョスリンは再びダブルセットに飛び込むと、バックサイドビッグスピンを完璧にメイクし9クラブ(9.1点)を獲得して堀米との差を広げる。

シングルトリック3本目、堀米がバンプtoダブルサイドレッジで、ノーリーバックサイド270ボードスライドを決めると9クラブ(9.0点)。

ジョスリンも堀米と同じセクションでギャップ越えの、ノーリーインワードヒールフリップバックサイド180を決めると3連続で9クラブ(9.1点)。

シングルトリック4本目。
この時点で7.3点を獲得すれば、無理に首位に立とうとしなくてもセカンドチャンスで決勝に進める堀米は、ハバレッジでフロントサイド180スイッチKグラインドをしっかり決め、8.8点を獲得(合計35.2点)。5本目を待たずに決勝進出を確定させる。

ジョスリンもすでに決勝行きを決めていたが、ここでバンプtoギャップでノーリーバックサイド360ヒールフリップを決めて驚異の4連続9クラブ(9.4点)を達成。
合計得点を36.6点にする。

シングルトリック5本目、堀米はニコンサイン越えのスイッチ360フリップをミス。
ジョスリンも同じくニコンサインセクションで、フェイキー360フリップを狙うがミス。

これで各グループの勝者はフェリペ・グスタボ、ライアン・デセンゾ、白井空良、クリス・ジョスリンとなり、セカンドチャンスからは堀米雄斗、アレックス・ミドラーが決勝進出を決めた。

【最後は駆け引き勝負となった女子決勝】

上村葵/フロントサイドブラントスライド

女子決勝は上村葵、吉沢恋、織田夢海、赤間凛音、クロエ・コベル、ライッサ・レアウにより争われた。

注目は2022年からライッサかクロエしか優勝していない中(APEXシリーズを除く)、日本勢で誰が王者の座を奪い取るかだろう。
※女子は2018年度のスーパークラウン(開催は2019年1月)で西村碧莉が優勝して以来、いまだ優勝者はいない(APEXシリーズを除く)。

【ライン1本目】
上村、吉沢はフルメイクならず。
織田は安定した技を中心にフルメイクの滑りを見せ、6.1点を獲得。

赤間はハンドレールでフロントサイドフィーブルグラインド、バンプtoバンプをキックフリップで越え、ダウンレールでフロントサイドハリケーングラインド、バンプtoギャップをオーリーで飛び越える。バンプtoバンプをフロントサイドビッグスピン、最後はハバレッジでバックサイド50-50グラインドを決めてフルメイクの滑りを見せると6.4点を獲得。

続くクロエはハバレッジでバックサイドスミスグラインド、レッジでフロントサイドノーズグラインド、キンクレールでフロントサイドフィーブルグラインド全流し、バンプtoギャップをキックフリップで飛び越える。

バンプtoバンプでフロントサイド180してスタンスを変えると、ユーロギャップでスイッチキックフリップを狙うも、ここでミスしてしまうが6.8点を獲得し、日本勢を上回り首位に立つ。

ライッサはハバレッジでバックサイドKグラインド、バンプtoバンプでキックフリップ。バンプtoレールでフロントサイドブラントスライド、ハンドレールでバックサイドリップスライド、ダウンレールでバックサイドノーズスライド。

ダウンレールでキックフリップバックサイドリップスライド、最後はハンドレールでフロントサイドフィーブルグラインドを狙うがミス。

しかしこちらも高難度のトリッを決めていることから7.2点を獲得し、暫定首位に。クロエとともに、ここまでフルメイクしている日本勢よりも順位を上につける。

【ライン2本目】
上村がハンドレールでフロントサイドフィーブルグラインド、ダウンレールでベネットグラインド(後ろのトラックが少し外れてしまったがメイク)、ハバレッジでフロントサイド5-0グラインドなど、ノーミスの滑りを見せて5.6点を獲得。

続く吉沢は2本続けて、バンプtoレールでバックサイドスミスグラインドをミスしてしまう。

織田は1本目に比べて難易度を上げたライン構成でフルメイクを狙うも、最後のバンプtoギャップで惜しくも乗りゴケ。
暫定4位でシングルトリックに臨む。

赤間はバンプtoバンプで、フロントビッグスピンからフロントサイドビッグスピンヒールフリップに難易度を上げたラインを見せると、得点6.6点。
スコア自体は伸びたものの(プラス0.2点)思ったより伸びなかった印象。

クロエは序盤でミスがあり得点を伸ばせず。

ライッサはバンプtoバンプでキックフリップを決めた箇所を360フリップに難易度を上げるが、またもや最後のフロントサイドフィーブルグラインドを決めきれない。
しかしそれでも7.5点を獲得し(プラス0.3点)、首位でシングルトリックに進む。

吉沢恋/ビッグスピンフロントサイドボードスライド ショービットアウト

【シングルトリック1本目】
吉沢がハバレッジでバックサイドノーズスライド 270ショービットアウトを完璧に決め8.0点を獲得。
上村はハンドレールで、バックサイドスミスグラインドを決め7.0点。
織田もハンドレールで、バックサイドスミスグラインドを決め7.0点。
赤間もこれまたハンドレールで、バックサイドスミスグラインドを決め7.0点。
クロエはニコンサイン越えのキックフリップをミス。
ライッサはハバレッジでの、バックサイドテールスライドをミス。

【シングルトリック2本目】
吉沢はダウンレールで、ビッグスピンフリップ フロントサイドボードスライドを決め7.8点。
上村はハンドレールで、フロントサイドブラントスライドをミス。
織田はダウンレールで、キックフリップ フロントサイドフィーブルグラインドを狙うがミス。
赤間はハバレッジで、フロントサイド180フェイキーノーズグラインドをミス。
クロエはニコンサイン越えのキックフリップをここでしっかり決め7.1点。
嬉しそうな顔を見せる。
ライッサはハバレッジで、バックサイドテールスライドを決め8.2点の高得点を獲得。

【シングルトリック3本目】
吉沢はハンドレールで、ビッグスピンフロントサイドボードスライドからショービットアウトを狙うがミス。
上村はハンドレールで、フロントサイドブラントスライドを続けてミス。
織田もダウンレールで、キックフリップ フロントサイドフィーブルグラインドを続けてミス。
さらに赤間もハバレッジで、フロントサイド180フェイキーノーズグラインドを続けてミスしてしまう。
クロエはハンドレールで、フロントサイドフィーブルグラインドを危なげなく決め、6.9点を獲得。
ライッサはハバレッジで、バックサイドスミスグラインドを決め7.1点を獲得。

ライッサ(合計22.8点)が首位、クロエ(合計20.8点)が2位、吉沢(合計20.3点)3位、赤間(合計13.6点)4位、織田(合計13.1点)5位、上村(12.6点)6位でシングルトリック4本目に進む。

【シングルトリック4本目】
吉沢、ハンドレールでビッグスピンフロントサイドボードスライドからショービットアウトを狙うが惜しくも着地でミス。
上村、ハンドレールでのフロントサイドブラントスライドを完璧に決め7.9点を獲得し、3位に浮上。
織田はダウンレールで、キックフリップ フロントサイドフィーブルグラインドを決めきれない。
赤間はハバレッジで、フロントサイド180フェイキーノーズグラインドを決め8.1点を獲得し、2位に浮上。
クロエはバンプtoレールで、バックサイドKグラインドからノーリーフリップアウトを狙うがミス。
ライッサはハンドレールで、フロントサイドブラントスライドからショービットアウトを狙うがミス。
しかしライッサ暫定首位キープのまま、最終トリックへ。

【シングルトリック5本目】

赤間凛音/バーレーグラインド リバート

ここで滑走順が変わり、6位の織田はバンプtoレールでバックサイドKグラインドからノーリーフリップアウトを狙うが失敗。暫定5位の吉沢はここで驚異のトリックとなる、ハンドレールでのビッグスピンフロントサイドボードスライドからショービットアウトを完璧に決め、この日女子で初の9クラブ(9.1点)を獲得し暫定トップへ(合計29.4点)。

暫定5位となった上村は9.0点を出せば首位、2.4点を出せば2位に浮上できる最終場面で勝負に出る。超高難度トリックとなる、ハンドレールでバックサイドノーズブラントスライドに挑むが残念ながら失敗。

しかし最後まで置きにいかない、素晴らしい攻めの姿勢を見せて会場を沸かせた。

暫定4位のクロエは8.7点を出せば首位、2.1点を出せば2位につけられる場面で選んだトリックは、ハンドレールでのバックサイドスミスグラインド。
これを決め7.0点を獲得し、暫定2位に浮上する。

暫定4位に落ちた赤間、首位に立つには7.8点が必要な場面で伝家の宝刀、バーレーグラインド リバートをハンドレールで決め8.4点を獲得し、暫定首位に。

ライッサ・レアウ/フロントサイドブラントスライド

ここで暫定4位となったライッサ。

首位に立つには7.4点が必要な場面で、4本目に狙っていたトリックのグレードを落としフロントサイドブラントスライドにトライ。
SLS百戦錬磨の女王はさすがの強心臓でこれを決め(7.9点)、SLS通算11度目の優勝トロフィーを獲得した。

【かつてない9クラブの応酬となった男子決勝】

堀米雄斗/ノーリーバックサイド270ノーズスライド

過酷な予選を制し、男子決勝に進んだのはアレックス・ミドラー、堀米雄斗、ライアン・デセンゾ、フェリペ・グスタボ、白井空良、クリス・ジョスリン。

【ライン1本目】
第2滑走者の堀米がいきなりフルメイクの滑りを見せる。
ハンドレールで、スイッチフロントサイドテールスライド。
バンプtoバンプで360フリップ。
クォーターパイプで、バックサイドスミスグラインドtoバックサイドテールスライド。
ユーロギャップで、ノーリーフロントサイド180ヒールフリップ。
バンプtoハイレッジで、バックサイドテールスライド。
バンプtoレールで、ビッグスピンフロントサイドボードスライド。
ハンドレールで、ノーリーフロントサイド270ボードスライド。
これらの技をフルメイクすると9クラブ(9.0点)を獲得。

続く5番目にスタートした白井も負けずに1本目からフルメイクの滑りを見せる。
ハンドレールで、バックサイドスミスグラインド。
ダウンレールで、ノーリービッグスピンバックサイドテールスライド。
バンプtoレールで、アーリーウープからのフロントサイド270ボードスライド。
ハバレッジで、アーリーウープからのフロントサイド180 フェイキー50-50グラインド。
ダウンレールで、フロントサイドハーフキャブボードスライド。
バンプtoバンプで360フリップ。
ハンドレールで、キャバレリアルリップスライドからのサムライソードポーズ。
以上の技をフルメイクし、こちらも9クラブ(9.1点)。

そしてこの日はまさに神がかっている最終滑走者の、ジョスリンもフルメイクの滑りを見せて8.9点を獲得。
1本目からこの3人による三つ巴の様相を呈する展開になっていく。

【ライン2本目】
堀米は1本目のバンプtoハイレッジでのバックサイドテールスライドを、ノーリーバックサイド270ボードスライドに難易度を上げたラインをフルメイクさせると、白井を上回る9.3点を獲得。

続く白井もダウンレールでのノーリービッグスピン バックサイドテールスライドの箇所で、この技にビッグスピンアウト入れて難易度を上げると9.2点を獲得。
堀米に0.1点差まで迫る。

ここでジョスリンも1本目より難易度を上げたライン構成で9クラブ(9.0点)を獲得。
日本勢2人のハイレベルな戦いに食い込んでいく。

【シングルトリック1本目】

順番変わり4番目に滑走のジョスリンは、ダブルセットのステアで360フリップをメイク。
9クラブ(9.0点)で一歩リード。

続く白井はハバレッジで、ソラグラインドを決めてこちらも9クラブ(9.2点)。合計18.4点で首位に立つ。

堀米はハンドレールで、ノーリーフロントサイド270ボードスライド フェイキーアウトをメイク(ラインではメインアウトを決めているので、厳密には同じトリックではない)。
これで8.7点を獲得し合計18点(この時点でジョスリンと同点)。

【シングルトリック2本目】

ジョスリンはダブルセットのステアで、バックサイドビッグスピンを決め9クラブ(9.1点)。
白井はハンドレールで、キャバレリアルバックサイドテールスライド ビッグスピンアウトを狙うが失敗。
堀米はバンプtoレッジでノーリーバックサイド270ノーズスライドを、体勢を崩しながらも決めきり9クラブ(9.0点)。

この時点で合計得点は、ジョスリンが27.1点。堀米が27.0点。白井が18.4点となる。

【シングルトリック3本目】

クリス・ジョスリン/ノーリーインワードヒールフリップ バックサイド180

この日神がかっているジョスリンはバンプtoギャップで、ノーリーインワードヒールフリップ バックサイド180を決め、驚異の4連続9クラブ(9.1点)を達成。

白井がハバレッジで、アーリーウープからのバックサイド180 フェイキー50-50グラインドを決め9クラブ(9.0点)。堀米がハンドレールで、ノーリーバックサイド180 スイッチフロントサイドフィーブルグラインドを決め9クラブ(9.3点)を獲得。
合計得点でジョスリンに0.1点差をつける、36.3点で首位に立つ。

【シングルトリック4本目】

暫定2位のジョスリン。
バンプtoギャップでノーリーバックサイド360ヒールフリップを狙うが失敗。

暫定3位の白井は、2本目に失敗しているキャバレリアルバックサイドテールスライド ビッグスピンアウトを狙うがこちらも失敗。
この時点で4本トリックを揃えられず、あとが無くなる。

暫定首位の堀米はさらに得点を伸ばすべく、今大会高得点が出ているダブルセットのステアで360フリップを決めるが、ステア最後の1段に後ろのトラックが引っかかり(逆にそれでもメイクするのも凄いが)得点8.6点で合計得点を伸ばせず。

【シングルトリック5本目】
ここで思わぬ伏兵アレックスがバンプtoギャップ越えのレールで、バックサイドリップスライドを決めると、高得点を4本揃え合計34.3点で白井を抜き暫定3位に。

白井空良/キャバレリアルバックサイドテールスライド ビッグスピンアウト

迎えた白井のラストトリック。ここまで2回ミスしている、キャバレリアルバックサイドテールスライド ビッグスピンアウトを完璧に決めると9.4点を獲得。
堀米を抜き、土壇場で大逆転を決める。

ジョスリンのラストトリック。

白井を抜いて優勝するには9.7点、堀米を抜いて2位になるには9.2点が必要な場面で選んだセクションはやはりダブルセット。
ハンマートリックの限界を進む男らしい最後のトリックは、ビガースピンフリップ。

あくまで2位ではなく、優勝を狙いにいくんだという意気込みを感じる男気溢れまくりのトリックチョイスだったがこれを失敗。
しかし予選から最後まで、ハードなトリックだけでなくセクションに立ち向かう姿勢やオーラ、何より最後までスケートボードに対するアツい気持ち全開の最高にかっこいい滑りを見せてくれたことに、見ていて鳥肌が立ちっぱなしだった。

余談だが彼は複雑な家庭の事情から、幼少期はおばあちゃんに育てられた。そのおばあちゃんへの敬愛の印として、デッキテープにペイントされた「G-MA」の文字を表彰式で掲げる彼の姿は、最後の最後まで本当にカッコ良すぎた。

話を戻してここで最終滑走者、堀米のラストトリック。優勝するには9.3点が必要という場面。
もちろん堀米になら可能な得点だ。

挑んだトリックはバンプtoハイレッジでのノーリーバックサイド180リアグラインドだったが、これを失敗。

今大会は白井に軍配が上がった。
白井は最後の囲み取材で「いつも(ここで)乗ったら勝てる場面という所で、いつもいつも決められなくて、悔しい思いをして、またこれかという感じでしたけど、X Games(で優勝した)の時からそういう(追い込まれた)場面で自分がちょっと変わってきてるなというのがオリンピック後から見えつつあるので、成長してるのかなと思います」と答えた。

そして最後に決めたトリックに関して聞かれると「今まで何万回とやってきた中で、一番難しいセクションだった」と話し、最高難度のハンドレールでメイクできたことへの喜びを表した。

SLS東京2024決勝の映像

 

【SLS東京2024女子リザルト】

1位 ライッサ・レアウ(ブラジル)–30.7
2位 赤間 凛音(日本)–30.1
3位 吉沢 恋(日本)–29.4
4位 クロエ・コベル(オーストラリア)–27.8
5位 上村 葵(日本)–20.5
6位 織田 夢海(日本)-13.1
7位 中山 楓奈(日本)-24.1
8位 西矢 椛(日本)-19.6
9位 マライア・デュラン(アメリカ)-9.5
10位 藤澤 虹々可(日本)-6.7

【SLS東京2024男子リザルト】

1位 白井 空良(日本)–36.8
2位 堀米 雄斗(日本)–36.3
3位 クリス・ジョスリン(アメリカ)–36.2
4位 アレックス・ミドラー(アメリカ)–34.3
5位 ライアン・デセンゾ(カナダ)–25.7
6位 フェリペ・グスタボ(ブラジル)-7.7
7位 ジェイミー・フォイ(アメリカ)-33.6
8位 ジオバンニ・ビアンナ(ブラジル)-32.4
9位 池田 大暉(日本)-26.0
10位 ヴィンセント・ミルー(フランス)-24.9
11位 フィリペ・モタ(ブラジル)-24.9
12位 マニー・サンティアゴ(プエルトリコ)-24.3
13位 ダショーン・ジョーダン(アメリカ)-21.9
14位 マイルス・シルバス(アメリカ)-21.5
15位 シェーン・オニール(オーストラリア)-20.5
16位 ケルビン・ホフラー(ブラジル)-16.1
17位 根附 海龍(日本)-15.8
18位 グスタボ・リベイロ(ポルトガル)-15.3
19位 ブレーデン・ホーバン(アメリカ)-15.0
20位 カルロス・リベイロ(ブラジル)-7.1

写真・文 小嶋勝美
スケートボード放送作家のスケーター。

情報提供元:マガジンサミット
記事名:「【ストリートリーグ東京2024】白井空良・堀米雄斗がワンツーフィニッシュ&赤間凛音が準優勝、吉沢恋が3位!