伊原六花主演の新感覚ホラー『リゾートバイト』が公開になった。2009年に「ホラーテラー」(怖い話投稿サイト)に初投稿され、その後「2ちゃんねる」に再投稿されるとあまりの怖さと秀逸な展開で一気に話題となったネット怪談を元に映画化。主人公・内田桜を演じる伊原に話を聞いた。

■自身初のホラー映画「新しい挑戦だったなと思いました」

―今回の映画の元になっているお話はご存じでしたか?

詳しくは知らなかったです。お話をいただいてから2ちゃんねるなどで話題になった「鮫島事件」「きさらぎ駅」なども知り、映像作品も観ました。『きさらぎ駅』はファンタジー色が濃いのでよかったのですが、『真・鮫島事件』は本当に怖かったです(笑)。怖すぎてひとりでは観られなかったです。

―今回の『リゾートバイト』、オファーが来た時はいかがでしたか?

もともと唯一と言ってもいいくらいの苦手分野がホラーだったので(笑)、いけるかなと心配になりました。反対に怖がりだからこそ恐怖演技に関しては素でいいのかなと、初めてお話をいただいた時に思いました。

―劇中ではファンの方が見たことがない表情もされています。

そういっていただけてうれしいです。ホラーのシーンの撮影が終わると体に力が入るからかノドが枯れて、常に呼吸も荒く、大変だなと思いました。新しい挑戦でした。

―演じられた主人公・内田桜は、どういうキャラクターですか?

自分発信ではなく、比較的みんなに付いていく感じではあるけれど、大切な人のためなら動いてみようという強さもある子です。なので、弱いだけに見えないようにしたいなと思いながら演じていました。意外と自分に近いかなと思っていて(笑)。初対面のイメージでは「明るいね」と言っていただくことが多いのですが、「意外とぼーっとしているよね」と言われることもあります。

―それは意外ですね。明るい笑顔のイメージが強いです。

全部をネガティヴに考えてしまうこともあるんです(笑)。そういう意味では、桜に近いところがあったのかなと思うので、まったく役のイメージが想像出来ないという感じではなかったです。ムードメーカーの人がいると、実は付いて行こうと思ったりするタイプです。

■目の前のことを大事に、丁寧にやっていきたい

―今回、苦手分野ではあるものの、出演の決め手は何でしたか?

苦手ではあるのですが、ホラーのお話を聞いたり、都市伝説を聞いたりすることは好きなんです。お化け屋敷に行くとか心霊スポットに行くとか自分が体験することが苦手なだけで、むしろ聞いたりしているほうは好きなんです。あとは、デビューしてすぐお世話になったスタッフさんたちだったので、その再会はすごくうれしかったです。

―ホラー映画の撮影や、現場自体は楽しいとよく言いますよね。

そうですね。本当に和気あいあいと楽しく過ごせました。白石島という離島に三週間くらい、キャスト、スタッフ全員が集まり、島から出ずに撮ったので、チームワークも日が経つにつれて高まっていきましたし、宿も現場も近かったのでより仲良くなれました。そういうことがあったからこそ、撮影は楽しく出来ました。

―今回のようなチャレンジを経て、お芝居の魅力に改めて気付いたりは?

今回の桜のような役柄を演じていると声が小さくなったり、内股になったり、反対にもうちょっと活発な役だと普段からいろいろな人に話しかけに行ったり、テンションが高くなったりして。また、男っぽい役柄を演じるとがに股になったり、自分のマインドが役柄の考え方になるので、日常生活もとても変わってくるんです。

つまり、自分の考え方次第、物事の捉え方次第で楽しくもなるしそうじゃなくなるんです。全部がマイナスに見えたりもするし、気遣いができるようになったりもする。役柄を演じることで、物事の見え方が変わるんです。その中で自分を探すことが楽しい作業だと思います。

―また、10月からは出演されている連続テレビ小説『ブギウギ』も始まり、現在の活躍はどのように受け止めていますか?

毎回必死です(笑)。朝ドラに限らず、ずっと必死です。オーディションを受けてお芝居を見てもらってという感じなのですが、本当に正解がないお仕事なので、自分が持っている感性が、演じた時にそれが求められているものと合致しているかどうか。だからこそいただいた役柄は本当に頑張ってやろうと思いますし、目の前のことを大事に、丁寧にやっていきたいなと思っています。

―将来像についてはいかがですか?

一言で言うと将来楽しかったらいいなくらいしか考えていないのですが(笑)、年を重ねるたびに自分自身が大人だなとか素敵だなと思う方と話せる内容が変わってくるのがとてもうれしく、意外と大人になるのはいいなと思っています。ただ、やればやるほどお芝居が好きだと思いますし、まだ気付けていないことがたくさんあるだろうなと思うので、そのことを知れる範囲がまだあることが、大人になる楽しみだなと思っています。

(C) 2023「リゾートバイト」製作委員会
グランドシネマサンシャイン池袋、イオンシネマほか全国公開中

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