世界中の人々の希望となった伝説のアーティスト、ボブ・マーリーの半生を描く奇跡の物語、映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』が公開中だ。今なお愛され続け、心震わすボブ・マーリーの音楽とメッセージ、知られざる激動の生涯を描く本作でプロデューサーを務め、ボブ・マーリーの長男であり、自身もアーティストでもあるジギー・マーリーに話を聞いた。

―正真正銘のボブ・マーリー映画として注目の本作ですが、今回の映画化は、振り返ってみていかがでしょうか。

とても良く思っています。映画を何度も観ていて時間が経つにつれ、映画の内容の深さというものがより出てきて、とてもいい作品が作れたという手応えを感じています。

―本作の主演としてボブを演じるキングスリー・ベン=アディルの熱演も素晴らしいですね。

撮影の最初から良かったですが、撮影が進むにつれてどんどん良くなっていきました。まず自分たちに言い聞かせないといけなかったことは、キングスリーにボブ・マーリーそのもにのになることを期待しないということでした。ボブはボブしかいないわけですからね。ほかに彼はいないということを、僕たちは知らないといけない。つまり、キングスリーというひとりのアーティストとしての表現を受け入れないといけなかったんです。

でも、彼が成し遂げたことは、ボブの内なる葛藤を上手く表現してくれた、ということなんです。ボブの人となりというものを、上手く体現していました。ボブが自分を見つめ直す時期を、上手く表現してくれました。

―ボブ・マーリーさんの優しさ、弱さがとても印象的でした。

いろいろな面を今回、しっかりと描きたかったんです。たとえば、“タフガン”というタフな銃弾のような男というあだ名だったのですが、ボブをなめちゃいけなかったんです(笑)。リスペクトを大事にする人だったので、彼をなめちゃいけないんです。ゲットー育ちなので、ケンカも強かった。そういう面も見せましたし、あらゆる面を今回の映画で見せたんです。

―奥さんのリタとの関係性もしっかり描かれていましたね。

母のリタとボブとの関係も、今回しっかり描くことが大事でした。とても特別な絆で結ばれていました。ふたりは信仰に近い感じで結ばれているので、単なるやきもちみたいなことできずなが切れることはなかったです。

映画は“ワンラブ”というタイトルですが、いろいろな意味があってのタイトルです。なぜならリタは彼にとってのワンラブで、真に愛したひとりの女性という意味も込められています。

父は人に相談できない悩みも、リタだけには見せていました。小さい頃からお互いのことを知っているので、何かあったらリタにだけは言っていた。相談していたんです。何でも分かち合うことができたんです。

―これまでにも映画化の話はあったと推測されますが、今回の決め手は何だったのでしょうか。

確かにたくさんのオファーや企画はありました。その背景にあるものがビジネス的なものかどうかは分からないですが、今回何が違ったかというと、家族から企画が出て来たんです。外部の提案をもらったのではないから、こうして実現したのだと思います。家族で相談しながら進めました。

僕は長男だから、父のことを伝えていくことに責任があると思っていたんです。今こうして自分が映画を作っている背景には、おそらく父の魂が何か関わっているかも知れないとも思います。そして歳を取れば取るほど、彼に近づいているとも感じます。父親に似ていることを自覚するようにもなりましたし、あるいは子どもの頃に分からなかったことが、大人になって納得することが出てきたりもしています。今となってはもう父の年齢を超えていますしね(笑)。

―キングスリーさんはボブを愛している方たちがたくさん周囲にいたおかげで、いつもボブ・マーリーを感じることが出来たと言われていました。

ボブの家族、友人たち、仲間、それだけボブに近しい人がたくさんいたからこそ出来た映画だと思います。いいストーリーになりました。まさに僕たちもそうしたかったんです。ボブのファンの方たちのためだけの映画ではなく、本当にいい映画作品を作りたかったんです。

(C) 2024 PARAMOUNT PICTURES

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記事名:「【インタビュー】ジギー・マーリー「父のことを伝えないといけないと思いました」 映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』でプロデューサー