連載「いつもの日常に、わたしとビールと。」
おうちでゆったりとくつろいでいるとき、はたまた外へでかけたとき。いつでも、どんなときでも寄り添ってくれるビールたち。そんなビールと過ごすなにげない日常を、イラストレーターnatsuruが描きます。

(これまでの「いつもの日常に、わたしとビールと。」はこちら)
おうちでゆったりとくつろいでいるとき、はたまた外へでかけたとき。いつでも、どんなときでも寄り添ってくれるビールたち。そんなビールと過ごすなにげない日常を、イラストレーターnatsuruが描きます。

(これまでの「いつもの日常に、わたしとビールと。」はこちら)
記憶を辿る

電車の窓から見えるのは、田んぼの向こうに連なる山並みと、どこまでも広がる青空だった。青森を訪れるのは久しぶりで、今回は奥入瀬渓流にも足を延ばした。苔むした岩と透き通る水、音もなく落ちる細かな滝。足元から空気まですべてが澄みきっているようで、深呼吸をするたび、体の奥が静かに整っていくようだった。帰り道、道の駅で見つけたのが奥入瀬ブルワリーの『青天の霹靂』。青森のブランド米・青天の霹靂と奥入瀬の源流水で仕込まれたというケルシュスタイル。帰宅して旅の余韻を引きずるようにグラスに注ぐと、やさしいフルーティな香りがふわりと立ちのぼった。ひと口飲めば、やわらかな甘みとほのかな酸味が広がり、渓流沿いで感じた涼やかな風と重なっていく。お米が育った田畑、森の湿り気、水の音——そのすべてが、この一杯の中に溶け込んでいるようだった。思い出といっしょに静かに味わう、夜のはじまり。
Illustration:natsuru(@NaTsuRuuuu)
Text:山吹彩野
\待ち受けにしてみて/
情報提供元:ビール女子
記事名:「【ビールカレンダー2025年11月】いつもの日常に、わたしとビールと。記憶を辿る」











