食にまつわるトレンドやブームをいち早く把握することは、飲食店の経営者にとって重要なテーマ。今やInstagramやTikTokといったSNS上で話題となることで、流行にまで発展することも珍しくない。それは2023年度の食のトレンドを見てみると、TikTokでは「悪魔のパスタ」なるものが一時トレンドとして取り上げられていたことからもわかる。

また近年では、Z世代といった若い世代を中心に「1リットルコーヒー」や「2Dパン」などの韓国の料理に人気が集まる傾向も見られる。このような海外の料理は食のトレンドとして取り上げられやすく、ハンガリー発祥の焼き菓子である「チムニーパン」やニューヨークが発祥とされる「ニューヨークロール」なども人気のスイーツとして挙げられた。

では2024年は、どのような食べ物や飲食形態に人気が集まることが予想されるだろうか?また、コロナ禍ではテイクアウトやフードデリバリー、ゴーストレストラン、バーチャルレストラン、クラウドキッチンなどの需要が飛躍的に上がったが、これらの飲食業態に関しても、2024年はどのように変化すると予想されるのだろうか?

そこで今回、飲食店の開業サポート『トラナビ』(https://trust-navi.com)を運営する株式会社ムジャキフーズが、「2024年度|食にまつわるトレンド予想」に関する調査を実施した。

【20代~60代に聞いた!】今後人気が集まると思う飲食業態は『独創志向の個人店』や『一般的な飲食店』

はじめに、20代~60代の一般の人に今注目している食べ物について聞いてみた。

■今注目している食べ物はこれ!
・10円パン(20代/女性/大阪府)
・台湾パンケーキ(30代/女性/千葉県)
・ニューヨークロール(40代/女性/福島県)
・グルテンフリーパスタ(60代/男性/鳥取県)

SNSなどでも話題になっている10円パンや台湾パンケーキ、ニューヨークロールなどさまざまな食べ物が挙げられた。では、今後どのような飲食業態のお店に人気が集まると考えているのだろうか?

「以下の中で、今後どのような飲食業態(商品の売り方などの営業形態)のお店に人気が集まると思いますか?(複数回答可)」と質問したところ、『独創性志向の個人店(30.6%)』『一般的な飲食店(30.6%)』と回答した人が最も多く、次いで『従来あった家族向けのファミリーレストランや大型チェーン店(25.6%)』『フードデリバリーやテイクアウト専門店(24.3%)』と続いた。独創性のある個人店や、一般的な飲食店に人気が集まると思う人が3割程度いるようだ。では、2024年にトレンドになりそうだと思う食べ物は何かあるのだろうか?詳しく聞いてみた。

■2024年にトレンドになるかもしれない食べ物はこれ!
・ベーグル。最近注目を集めているから(40代/男性/愛知県)
・プロテイン含有食品。筋トレ・健康ブームはまだ続きそう、一般化してきているから(40代/女性/東京都)
・健康に配慮された独創料理(50代/女性/東京都)

近年、健康志向の方が増えていることもあり、健康に配慮された料理やプロテインが含まれている食べ物や飲み物などが目立った。

8割以上の方が、“食のトレンド”は飲食経営に大きな影響をもたらすと回答!

ここまでの調査で20代~60代の一般の方が今注目している食べ物や、今後人気が集まると思う飲食業態がわかった。では、飲食店のビジネスモデルが変化するきっかけとは、どのような物が要因になるのだろうか?飲食コンサルタントに聞いてみた。

「飲食店のビジネスモデルが変化するきっかけとして、どのようなものが要因になると思いますか?(複数回答可)」と質問したところ、『Z世代といった若い世代のトレンド(42.8%)』と回答した人が最も多く、次いで『InstagramやTikTokといったSNSでのトレンド(42.4%)』『グルメレビューサイトでの評価(35.9%)』と続いた。Z世代といった若い世代のトレンドや、SNSでのトレンドがきっかけで飲食店のビジネスモデルが変化すると思う人が多いようだ。また、実際に利用した人の評価なども飲食店のビジネスモデルが変化する要因であることがわかった。

そこで、「“食のトレンド”は飲食経営にどの程度の影響力を持っていると感じますか?」と質問したところ、8割以上の人が『とても大きな影響力があると思う(37.8%)』『ある程度の影響力はあると思う(50.6%)』と回答。非常に多くの人が、“食のトレンド”は飲食経営に対して影響力があると思っているようだ。

フードビジネスにおいて重視すべき要素は『代替食材』や『健康志向の食品』

では、2024年以降はフードビジネスにおいてどのようなことを重視すべきなのだろうか?「2024年以降、フードビジネスにおいてどのような要素を重視すべきだと思いますか?(複数回答可)」と質問したところ、『大豆ミートなどの代替食材(食品)(41.1%)』と回答した人が最も多く、次いで『健康志向の食品(40.9%)』『国内加工や国産にこだわった食品(33.5%)』と続いた。4割以上が、アレルギーを持っている人やベジタリアンの人などでも食べられるような代替食材(食品)などを重視すべきだと思っているようだ。また、健康志向の食品や国産にこだわった食品であることも重視すべきだと思うことがわかった。それでは、2024年以降はどのような業態の飲食店だと成功しやすいと思っているのだろうか?

「2024年以降は、どのような業態(商品の売り方などの営業形態)の飲食店だと成功しやすいと思いますか?(複数回答可)」と質問したところ、『テイクアウトが専門の飲食店(27.7%)』と回答した人が最も多く、次いで『フードデリバリー(ホームデリバリー)(26.6%)』『外食チェーン店(26.0%)』と続き、テイクアウト専門の飲食店が、今後成功しやすいと思う人が最多となった。また、自宅まで届けてくれるフードデリバリーや、外食チェーン店なども成功しやすいと思っているようだ。そこで、今後飲食店で成功するにはどのようなことが必須だと思うかを詳しく聞いてみた。

■2024年以降、開業時や飲食店戦略として必須となるポイントとは
・デリバリーの多様化への対応(30代/男性/愛知県)
・衛生的で、清潔感のある店舗が今後躍進の基準になる(40代/男性/大阪府)
・衛生面を徹底してコスパよく美味しいものを提供する。ヘルシー思考が重要(40代/女性/和歌山県)
・ニーズをもとに戦略を立てて実行しながら柔軟に変化させていくことが必要である(50代/男性/東京都)

デリバリーの多様化への対応や清潔感のある店舗であること、ヘルシー思考に合わせた食べ物を提供するなど、飲食店戦略の必須ポイントはさまざまあることが判明した。

4割以上の方が、2024年のトレンドとなりそうな業種は『和食』と回答

では、飲食店のなかでも2024年にトレンドとなりそうな業種は何なのだろうか?「以下のうち、2024年のトレンドとなりそうな業種(取り扱う商品や業務内容の種類)を教えてください(複数回答可)」と質問したところ、『和食(45.4%)』と回答した人が最も多く、次いで『洋食(31.6%)』『中華料理(30.0%)』と続いた。4割以上が、和食が2024年のトレンドとなりそうだと思っているようだ。また、洋食や中華料理も上位であることがわかった。そこで最後に、新たに注目すべき食材や料理について具体的に聞いてみた。

■新たに注目すべき食材、料理とは
・ベジミートを売りにしたレストラン。環境がテーマになると思う(40代/女性/静岡県)
・健康志向を踏まえ、大豆ミートや米粉は注目すべき(40代/男性/神奈川県)
・和食。外国人が注目している(50代/男性/大阪府)
・円安傾向はまだまだ続くため、輸入食品はさらに値上げを求められる。国産の地産地消に注目をしたい(60代/男性/岡山県)

健康志向の食材や料理、外国人が注目している和食、地産地消などに注目すべきだと思う人が多いことがわかった。

【調査概要】
調査概要/「2024年度|食にまつわるトレンド予想」に関する調査
調査期間/2023年12月1日(金)~2023年12月4日(月)
調査方法/リンクアンドパートナーズが提供する調査PR「RRP」によるインターネット調査1,023人(①507人/②516人)
調査対象/調査回答時に①20代~60代の一般の方、②飲食コンサルタントであると回答したモニター


今回の調査結果で、2024年の食にまつわるトレンドが明らかになった。20代~60代の一般の人は、今後、独創性思考の個人店に人気が集まるとの回答が多く、健康志向の食べ物がトレンドになりそうだと思う傾向にあるようだ。飲食店のビジネスモデルが変化するきっかけとして、若い世代やSNSでのトレンドなどが要因だと考える人が多く、“食のトレンド”は飲食経営に大きな影響力があると思うことがわかった。また、2024年以降のトレンドとなりそうな業種は、4割以上が和食が2024年のトレンドとなりそうだと回答し、洋食や中華料理も上位であることがわかった。飲食店を開業する際は、トレンドを踏まえて、飲食店戦略を柔軟に変化させていくことがポイントになるといえるだろう。

情報提供元:舌肥
記事名:「【食にまつわるトレンド予想】来年流行る食べ物や飲食業態は?