職場におけるドレスコードの1つ「オフィスカジュアル」は、従来のビジネススーツといったフォーマルなファッションと比較して、よりカジュアルな雰囲気の服装を指す。しかし、一般的にカジュアルすぎる服装はNGとされることが多く、企業によって基準が異なるのが現状だ。近年では、ネイルやピアスOK、髪型や服装も自由といった企業が増加しており、ビジネスにおけるファッションや身だしなみに関する常識は年々変化しているのかもしれない。
そこで今回、オフィスデザインやレイアウトをトータルコーディネートする株式会社アーバンプラン(https://urban-plan.com/)は、オフィス勤務の20代~40代の会社員を対象に、「ビジネスにおけるファッションや身だしなみ」に関する実態調査を実施した。
現在のビジネスファッションの実態とは?
「お勤めの企業の服装規定を教えてください(複数選択可)」と質問したところ、『オフィスカジュアル(39.8%)』と回答した人が最も多く、次いで『既定の制服や作業着(30.6%)』『スーツ(29.6%)』と続いた。スーツと回答した割合がオフィスカジュアルと回答した割合よりも少ないことから、今後もオフィスカジュアルで良いとする企業の増加が予想されそうだ。では、働く際の服装にはどのような要素が重要と考える人が多いのだろうか。
「働く際の服装において大切だと思う要素をすべて選択してください(複数選択可)」と質問したところ、『働きやすさ(動きやすさ)(59.4%)』と回答した人が最も多く、次いで『社員がストレスや面倒を感じない(38.9%)』『社外の人に不快感を抱かせない(33.2%)』と続き、6割近くが働く際の服装には「働きやすさ」を重視していることが分かった。
服装や身だしなみが契約成否や業績に影響すると思うのは約7割
働く際の服装において大切だと思う要素が分かったが、訪問者の服装について気になる人はどのくらいいるのだろうか? 「あなたが訪問される側の企業だと仮定した場合、訪問者の服装についてどの程度気になりますか?」と質問したところ、『気になる(17.5%)』『少しは気になる(49.8%)』という回答があり、どうやら訪問者の服装について気になる人は過半数を占めるようだ。
働く際の服装や身だしなみが他人に与える影響として考えられる要素の一つには、取引先との契約などが挙げられるため、「服装や身だしなみは取引先との契約成否や業績に影響すると思いますか?」と質問したところ、『大きく関わる(13.9%)』『ある程度は関わる(55.1%)』『あまり関わらない(25.0%)』『まったく関わらない(6.0%)』という回答結果になった。『大きく関わる』『ある程度は関わる』と回答した人を合わせると、7割近くが服装や身だしなみが契約成否や業績に影響すると考えていることが分かった。そこで、そう思う理由を詳しく聞いてみた。
■服装や身だしなみは契約成否や業績に影響する?
【大きく関わると回答した人】
・契約先に向かう時は、気にする。相手が服装、振る舞い態度含めて判断していると思う(40代/男性/大阪府)
・身だしなみ、第一印象は大切だから(40代/男性/埼玉県)
・着衣の乱れは心の乱れだと思うし、TPOに合わせた服装すら心得ない会社は信用を疑うから(40代/女性/東京都)
【ある程度は関わると回答した人】
・スーツ着用が義務になっている会社の人から見たら、私服で打合せに来るような人はマナーがなっていないと思われそうだから(30代/男性/埼玉県)
・Tシャツに短パンなどあまりにオフィスカジュアルの域を超えた服装だと、ビジネス感覚にも不安を覚えるため(30代/女性/神奈川県)
・相手に対する誠意が服装に出る(40代/女性/神奈川県)
【あまり関わらないと回答した人】
・実力と技能の方が大事(20代/女性/愛媛県)
・仕事内容がよければ服装は関係ない(40代/女性/鹿児島県)
・常識の範囲内であればいいと思うし、常識の範囲は広がりつつあると思うので(40代/男性/宮城県)
【まったく関わらないと回答した人】
・服装では判断する必要がないから(30代/男性/愛知県)
・契約や提案など内容重視だから(40代/男性/愛知県)
・服装は関係ないから(40代/女性/東京都)
服装や身だしなみは、社会人としてのマナーや相手に対する誠意のあらわれであるといった理由で、取引先との契約成否や業績などに影響すると思うようだ。また一方で、『あまり関わらない』『まったく関わらない』と回答した人は、実力や仕事内容がしっかりできているのであれば服装は関係ないと思うことが分かった。
ビジネスファッションが変化していることに対する評価は?
近年の、ネイルやピアスOK、髪型や服装も自由といった企業は増加しているが、こうした時代の変化についてどのように感じているのだろうか? 「近年、ビジネスファッションは変化や多様化が進んでいると思いますか?」と質問したところ、『とてもそう思う(21.9%)』『ややそう思う(59.4%)』という回答が集まり、8割以上の人がビジネスファッションの変化や多様化が進んでいると感じていることが分かった。
では服装規定がない、あるいは緩い企業が増えることに関してどのように思っているのだろうか? そこで、「服装規定がない、または緩い企業が増えることについてどのように思いますか?」と質問したところ、『とても良い(29.8%)』『やや良いと思う(56.2%)』との回答がある、8割以上の人が肯定的な意見を持っていることが示された。果たして、そう思う理由とは一体何なのだろうか? 『とても良い』『やや良いと思う』と回答した人に詳しく聞いてみた。
■「服装規定がない、または緩い企業が増える」ことは良いこと?
【とても良い】
・働く上でリラックスできる服装や、自分の気分を高める服装ができることは生産性に繋がると思うから(30代/女性/埼玉県)
・社員が気持ちよく仕事ができてるから(40代/男性/愛知県)
・服装で企業判断は古いと思う。業務に関係ない(40代/男性/宮城県)
【やや良いと思う】
・だらしないのは論外だが、熱帯化していることから、気候に合わせてオフィスカジュアルは進めるべき(30代/男性/宮城県)
・一定のルール内なら自由で構わないと思う。スーツだけに拘らなくて良いと思う(40代/男性/愛知県)
・服装でストレスにならないため、ある程度は個人の自由を受け入れてくれた方が良い(40代/女性/神奈川県)
スーツよりも比較的動きやすい傾向があるオフィスカジュアルは、業務の生産性向上以外にも夏場の暑さ対策としても向いていると考えているようだ。
変わるべきなのはファッションだけではない!「働き方」や「オフィス整備」についても変化が必要
ここまでの調査で、職場での服装や身だしなみが業務にどのように影響するのかが明らかになった。しかし、ビジネスにおいて時代に合わせて変わるべきものは、ファッション以外にもあるのではないだろうか。そこで「時代に合わせてビジネスの場で変化させるべきと思うものをすべて選択してください(複数選択可)」と質問したところ、『働き方(リモートなど)(68.2%)』と回答した人が最も多く、次いで『オフィス設備などの職場環境(54.6%)』『社内規則(副業の可否など)(53.8%)』と続いた。そこで「オフィス設備などの職場環境」を選択した人にそう思う理由とは何なのか詳しく聞いてみた。
■オフィス設備などの職場環境も変えるべきと考える理由とは
・1日の大半を過ごす所だし、働き方改革も推進されているから(40代/男性/宮崎県)
・仕事の効率が上がると思うから(40代/男性/福岡県)
・働きやすさが必要だから(30代/男性/神奈川県)
・色々と変わっていかないといけないと思うから(30代/男性/兵庫県)
・時代に合わせた変化が必要(40代/男性/大阪府)
ファッションだけでなく、リモートワークなど働き方の多様化が進んでいる中で、時代や状況に合わせたオフィスづくりが求められているようだ。
【調査概要】「ビジネスにおけるファッションや身だしなみ」に関する実態調査
調査期間/2023年12月1日(金)~2023年12月2日(土)
調査方法/リンクアンドパートナーズが提供する調査PR「RRP」によるインターネット調査
調査元/株式会社アーバンプラン(https://urban-plan.com/)
調査人数/1,012人
調査対象/調査回答時に オフィス勤務の20代~40代の会社員である と回答したモニター
モニター提供元/ゼネラルリサーチ
8割以上の人が「ビジネスファッションの変化や多様化が進んでいる」と回答!しかし、変化すべきはファッションばかりではない
今回の調査で、20代~40代の会社員が、ビジネスファッションに対してどのように認識しているのかが明らかになった。働く際の服装について、「働きやすさ」や「動きやすさ」が大切だと考えている人が多いものの、約7割が「服装や身だしなみが契約成否や業績に影響する」と考えていることから、動きやすくてもビジネスの場において服装や身だしなみを疎かにすることには否定的な考えの人もいるようだ。だが一方で、8割以上の人がビジネスファッションの変化や多様化が進んでいると感じており、今後は厳格な服装規定のある企業は減少していくと考えられそうだ。またファッション以外に、働き方やオフィス設備などの職場環境を変化させる必要があるといった回答が過半数となったことから、これからのビジネスの場では、時代の変化に合わせた働き方や職場環境の整備を行うことが重要であるといえるのではないだろうか。
情報提供元:舌肥
記事名:「服装は契約の有無に関係するって本当?ビジネスファッションに関する調査報告」