TBD

File no. 053

《CONVERSE / コンバース》

 

世界中で年齢性別問わず、これほどまでに親しまれているスニーカーがあるだろうか。

めまぐるしく移り変わるトレンド最優先のスニーカーシーンにあって、その喧騒を超越した存在として100年にわたり支持され続けているスニーカーだ。

大げさでもなんでもなく、《コンバース》の「キャンバス オールスター」は知れば知るほど他に類をみない偉大なスニーカーである。

 

コンバースの歴史は1908年、アメリカ・マサチューセッツ州モールデンでスタートした。

《ビーコン・フォールズ・ラバー・カンパニー》でマネージャーを務めていたマーキス・M・コンバースは、降雪量が多く、深い森や湿地帯が続くマサチューセッツ州の地域性に着目し、《コンバース・ラバー・シュー・カンパニー》を設立した。

その翌年に、雨や雪の中でも作業できるラバーシューズの製造を開始。

彼の見込みは見事的中し、同社のラバーシューズはその品質の高さから圧倒的な支持を集め、1910年には従業員数350人を擁する地元の有力企業へと成長した。

 

しかし、ラバーシューズの販売が雪の多い冬場に集中することから、通年で販売できるシューズの開発に迫られる。

そこで彼が着目したのが、当時YMCAで教鞭をとっていたネイスミス博士が冬場にもできるスポーツとして考案したバスケットボールだった。

主力であったラバーシューズの製造を行いながら、さまざまな試行錯誤を繰り返し、1917年に遂にバスケットボール専用シューズ「キャンバス オールスター」を開発。

テクノロジーの進化により若干の仕様変更は繰り返されているが、それでも当時のものと現在のもののスタイルは、驚くほど同じ点が多い。

それだけこのシューズが完成された機能とフォルムを開発当初から備えていたといえる。

 

また、1928年には「キャンバス オールスター」のアイコンとも呼べる、スターマーク入りのアンクルパッチが採用された。

当時のスターバスケットプレーヤーだったチャールズ・H・テイラーは、現役時代を通じて「キャンバス オールスター」を愛用し続け、1946年からはシューズのアンクルパッチに彼の名が記されるようになった。

これこそが世界初のバスケットボールシューズのシグネチャーモデルであり、《コンバース》ファンに絶大な人気を誇るモデル「チャックテイラー」の誕生だった。

 

誕生から100年を超えた「キャンバス オールスター」には、まだまだ語り尽くせぬ歴史がある。

知れば知るほど、その素晴らしさに気づかされるスニーカーである。

 

情報提供元:men's FUDGE
記事名:「【C】 CONVERSE