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《gicipi /ジチピ》

イタリアといえばプレタポルテやクラシコ・イタリア、シューズやバッグをはじめとするハイエンドなレザー製品など、世界中に多大な影響を与え続けるファッションの中心地だ。

世界に名だたる有名ブランドが多数存在し、常にハイレベルな競争が繰り広げられている。

そんなファッションの中心地であるイタリアにおいて72年もの間、愛され続けているブランドがある。

それは、イタリアが誇るアンダーウエアブランド《ジチピ》だ。

 

創業はイタリアが終戦を迎えた1945年。

アメリカ軍の空襲により、パドヴァの旧市街は焼け野原と化していた。

創業者のグスターボ・チェサラートは、壊滅状態だった街の中で肌着メーカーをつくろうと半壊した建物を購入。

そして約二年半の準備と修繕を経て、1948年に『マリフィーチョ・ジチピ』を開業した。ちなみに、マリフィーチョ・ジチピ(Maglificio Gcipi)を和訳すると、”ジチピ・メリヤス工場”である。

 

1958年には、工場をパドヴァの中心部から5kmほど離れた場所に移転。

この移転先には今現在も工場があり、《ジチピ》の拠点として歴史を紡ぎ続けている。

1992年に創業者であるグスターボ・チェサラートは死去したが、その息子であるフランチェスコが代表に就任。

創業以来こだわり続けてきた”天然素材”や”品質本位”という哲学、伝統や技術、誇り、物づくりに対する姿勢は変わることなく受け継がれた。

 

《ジチピ》は今現在も一貫工場で製品の製造を行っている。

自社工場を持ち、さらに一貫工場で製品の製造を行うブランドというのは、今ではかなり稀で貴重な存在だ。

型紙、裁断、縫製、仕上げまでのすべてを自社工場内で賄っている。

また、材料の調達からニッティング(生地の生産)まで行っているのはイタリア国内においても珍しく、今日も年代物の機械が現役で働いている。

工場で働く熟練職人は、”陽気で人懐っこいイタリア人”といいたいところだが、物づくりに向かう職人たちの人柄は違う。

むしろ、”寡黙で実直”。多くを語らずひたむきに物づくりに取り組む姿は、我々日本人の職人的美意識に通ずるところがある。

それもそのはずだ。

なにしろ72年もの間、世界のファッションの中心地イタリアにおいて切磋琢磨しながら研ぎ澄まされ、自社一貫工場で最高の製品を追求し、今現在も愛され続けているブランドなのだから。

写真のタンクトップ「マッジョーレ」一枚にも、もちろん《ジチピ》の歴史や伝統、こだわりがたっぷりと詰まっている。

情報提供元:men's FUDGE
記事名:「【G】gicipi