アマナイメージズでは、生き物や植物の生態を捉えた貴重な写真を数多く取り扱っています。それらの写真は、写真家たちの探求心と熱意によって撮影され、私たちに驚きや発見を与えてくれます。今回は、著名な写真家の作品を通して、奥深いネイチャーフォトの世界にご案内します。
元アマナイメージズで、40年間にわたり「自然科学写真の目利き」として図鑑や教材などの制作に知見を活かしてきた石井義信さんに、作品の希少性や価値、すごいポイントを解説していただきました。
※本記事には、虫や爬虫類のリアルな写真が含まれます。
石井義信さんの過去のインタビューはこちら
「自然科学写真の目利き」アマナイメージズ元社員・石井義信さんに聞く! #1
「自然科学写真の目利き」アマナイメージズ元社員・石井義信さんに聞く! #2
文 :河西美保(アマナイメージズ仕入部)
解説:石井義信(元アマナイメージズ仕入部)
写真:
kuribayashi satoshi /Nature Production/amanaimages
imamori mitsuhiko/Nature Production/amanaimages
hany ciabou/Nature Production/amanaimages
harada sumio/Nature Production/amanaimages
maekawa takayuki/Nature Production/amanaimages
fukuda yukihiro/natute pro./amanaimages
石井義信さん「自然科学分野の写真家は、基本的に撮りたい被写体、撮りたいシーンが念頭にあって、そのためにはどうしたらよいかといった方向で考え、準備に取り組みます。作品によっては奇跡的に撮れたものもあるかと思いますが、入念な観察、経験、知見を持って取り組むことによってこそ優れた生き物の生態写真が生み出されるものと思います。」
■フォトグラファー01
栗林 慧(くりばやし さとし)
【石井義信さん解説】
栗林 慧は日本を代表する昆虫写真家で、その独自の写真世界、表現は海外でも高く評価され科学写真のノーベル賞と称されるレナート・ニルソン賞を日本人で初めて受賞しました。
このミイデラゴミムシのガス噴射の写真は、当時の既存のセンサーでガス(液体状)が発射されたところでシャッターが切れるようにしたのではとても間に合いません。
そこで発射の瞬間の「ブッ」という音をマイクロフォンでキャッチし、それでシャッターが切れるように工夫したと聞いています。
捉えた瞬間はもちろん、画面構成の点でも写真としての完成度は高く、希少性が高いと言えます。撮影を可能にするためには機材の改造、開発までしてしまう栗林 慧の真骨頂とも言える写真です。
図鑑、書籍をはじめ、アマナイメージズからのお貸し出しと使用回数が多い写真の一つでもあります。
栗林慧さんの全ての写真はこちら
■フォトグラファー02
今森 光彦(いまもり みつひこ)
【石井義信さん解説】
今森光彦は、発表した写真集「世界昆虫記(福音館書店刊、1994年)」「昆虫4億年の旅(新潮社刊、2008年)」や写真集「里山」シリーズなど、その仕事に対しての評価が高く、日本有数の権威ある写真賞である「木村伊兵衛写真賞」、「土門拳賞」(それぞれ写真界の「芥川賞」「直木賞」と称される)などを受賞しています。
何を表現したいのか、そのためには「こういった方向、視点で捉えていきたい」といった確固たるテーマのもとに取り組み、その結果として「単にいい写真が撮れました」ではなく、しっかりとしたメッセージが表現されているように思います。
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■フォトグラファー03
埴 沙萠(はに しゃぼう)
【石井義信さん解説】
埴 沙萠は植物の生態を研究、撮影をした作家です。2016年に85歳で没するまで、40年以上にわたり植物の生きる知恵を、なぜ、どうしての視点で自ら観察・研究を続け、写真で表現してきました。
ここまで植物の生態に注目し突き詰めて取り組んできた作家はいませんでした。確かな知見と観察に裏付けられ、見事に表現された写真は、多くの作家、編集者に影響を与えました。
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■フォトグラファー04
原田 純夫(はらだ すみお)
【石井義信さん解説】
原田純夫のシロイワヤギの写真は1995年に、雑誌「ナショナル ジオグラフィック」アメリカ本国版で特集ページに採用され、世界的に大きく評価されました。
原田はとにかくシロイワヤギ(マウンテンゴート)に魅了され、静的なイメージが強い彼らの日常を克明に観察しました。
多くの時間を一緒に過ごす中で垣間見せる、躍動感あふれる姿を捉えています。それこそが「生き物を撮る」ということだと改めて感じさせられます。
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■フォトグラファー05
前川 貴行(まえかわ たかゆき)
【石井義信さん解説】
前川貴行は「野生動物の生きる姿」をテーマに世界の様々な環境に生きる動物たちの撮影に取り組んでいる日本を代表する動物写真家です。
「日経ナショナル ジオグラフィック写真賞2012」グランプリ受賞のこの写真には、密林に広がる空間、流れる時間を感じます。
たとえそこにフォトグラファーである自分がいようがいまいが、こうしてチンパンジーはこの地で日々を過ごし綿々と命を紡いでいる。そんな当たり前でありながらも、大切なことを語っているようにも思います。
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■フォトグラファー06
福田 幸広(ふくだ ゆきひろ)
【石井義信さん解説】
福田幸広は自らを動物たちのしあわせを撮る「しあわせ動物写真家」と称し、撮影に取り組んでいます。独自の視点、感性でじっくりと腰を据えて撮られた作品は国内外で高い評価を得ています。
世界最大級のサンショウウオである「オオサンショウウオ」の産卵行動から子育てまでを、世界で初めて撮影に成功した作品群です。写真表現の完成度も高く、長い年月をかけて成し遂げた圧巻の作品です。まさに弛まない観察、探究心が生み出した希少性の高い生態写真と言えるでしょう。
福田幸広さんの全ての写真はこちら
(アマナイメージズ担当者より)
生命の営みが表現された写真の数々、いかがでしたか?
アマナイメージズでは、このような価値の高い自然科学分野の写真コレクションを多数取り揃えております。
図鑑・教科書をはじめとした出版物から、広告やWEBサイトなどでもご使用いただけます。
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情報提供元:PORTFOLIO
記事名:「この写真がすごい!生き物・植物の貴重な瞬間を捉えたネイチャーフォト」