【ほしのうつつ】終わらない服選び

本エッセイは、ライター・HOSHIさんによる文章と、アマナイメージズ クリエイティブディレクター・松野正也によるフォトキュレーションでお届けします。

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このごろ毎朝「着たい服がないなあ」と悩む。これが一日気分が上がらない理由のひとつになっている。

着たい服があると、朝もパッと起きられるし、サッと着てドアもバタンッと開けてドコドコドカドカと出かけることができる。そこに迷いは一切ない。

ただ服に迷ってしまったときの自分と言ったら…。「もうええから、裸じゃなければなんでもええから」と自分に言いたくなる。

不思議だなあ、と思うのは、クローゼットに入っている服たちはすべて、自分が自分の意思で買ったものだということだ。

誰かにお下がりされたわけでもなく、プレゼントされたわけでもない。一着一着、服屋で確かに自分が手に取った、とっておきの一点物なはずである。

それが今では、どれをみてもピンとこない。お金を出すほど気に入ってたくせに、「着るものがない」なんてほざいている。あまりに自分勝手すぎやしないか。

そう思って部屋を見渡すと、自分に連れてこられたものばかりだ。ベッドもテーブルも、そこらへんの雑貨も。かつて店でワクワクしながら見ていたものたちが、いつの間にかただのくたびれた景色の一部になっている。

それに比べて、友人のワンコはずっと同じおもちゃを気に入って使っていた。骨のような形のロープを、いつ投げても嬉しそうに取りに行ってくれる。

「あなたはこれが大切なんだね」
問いかけても、ずっとしっぽをフリフリ。君はえらいよ。これこそが物を持つということなんだな。

それでもやっぱり、朝は服選びに迷うのである。自分の飽きっぷりがちょっといやだ。

 

 

情報提供元:PORTFOLIO
記事名:「【ほしのうつつ】終わらない服選び