株式会社矢野経済研究所(代表取締役:水越孝)は、国内POCT(point of care testing:臨床現場即時検査)市場を調査し、市場規模、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

1.市場概況

2023年度の国内POCT市場規模(10分野計)は、事業者売上高ベースで前年度比82.1%の2,739億円となった。

2021年度から2022年度にかけイムノクロマト法の新型コロナウイルス迅速抗原検査キットの市場が急速に拡大した。とくに2022年度においては自治体等にて同迅速抗原検査キットを大量に確保する動きが鮮明となった。2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行してからは、医療機関以外での新型コロナウイルス検査需要が減少し、各方面での同検査製品特需の反動を受け、2023年度のPOCT市場規模は縮小に向かう形となった。
ただし、新型コロナウイルス感染症流行前に1,000億円強であったPOCT市場の水準比較では、倍以上の規模となっており、迅速抗原検査キットに関して大きな新市場が創出されていることは確認できる。

【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000305910&id=bodyimage1

2.注目トピック~CoV-Fluコンボ型の迅速抗原検査キット需要が顕在化~

2020年度から2022年度はほぼ新型コロナウイルスの感染のみが目立つ形となり、他の呼吸器感染症の流行はほとんど認められなかった。2023年度はインフルエンザの流行が夏頃から始まるなど、罹患する感染症の様子が変化してきている。実際、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行も起き、臨床現場等でも対応に追われた。
そのため、2023年度のイムノクロマト法臨床検査キット市場では、新型コロナウイルスとインフルエンザを同時に検出できるCoV-Fluコンボ型の迅速抗原検査キットの需要が大幅に拡大した。

3.将来展望

新型コロナウイルスは5類感染症に移行後も、年2回くらいの流行波を繰り返しながら感染症として定着するような状態になりつつある。医療現場では警戒感のある感染症として認識する機運も広がり、新型コロナウイルス迅速抗原検査キットの利用機会としては高い水準が維持されるのではないかと見る。
また新型コロナウイルス以外の感染症となる、インフルエンザや溶連菌、アデノウイルス、RSウイルス、マイコプラズマ肺炎などの患者も増えており、感染初期段階での簡易検査に対するニーズは高まる方向にある。今後は各種ウイルス等の高感度検出、マルチ項目検出などが技術開発の焦点になるものと考える。

※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3628

調査要綱
1.調査期間: 2024年6月~8月
2.調査対象: 国内の臨床検査薬・機器展開企業(日本企業および海外日本法人)
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに電話・eメールによるヒアリング調査
4.発刊日: 2024年09月09日

お問い合わせ
⇒プレスリリースの内容や引用についてのお問い合わせは下記までお願いいたします。
株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
https://www.yano.co.jp/contact/contact.php/press

株式会社矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/



配信元企業:株式会社矢野経済研究所
プレスリリース詳細へ

ドリームニューストップへ

情報提供元:Dream News
記事名:「【矢野経済研究所プレスリリース】POCT市場に関する調査を実施(2024年)~新型コロナウイルス迅速抗原検査キット市場は縮小も、インフルエンザとのコンボ型製品などは伸長~