株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の教育産業市場(主要15分野)を調査し、サービス分野別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

1.市場概況

2023年度の教育産業全体の市場規模(主要15分野計)は、事業者売上高ベースで前年度比0.7%減の2兆8,331億7,000万円となった。2023年度は少子化の進行や物価上昇による家計の教育投資抑制などの影響を受けて、全体市場としては前年度割れとなった。また、コロナ禍を機に急速に需要を高めた通信教育は、その反動もあり前年度に続いて大幅な市場縮小となった。2023年度に前年度の市場規模を上回った分野は、調査対象15分野のうち、「資格・検定試験市場」「語学スクール・教室市場」「幼児体育指導市場」「企業向け研修サービス市場」の4分野に留まった。

当該市場の推移を振り返ると、2020年度には新型コロナウイルスの感染拡大によって生じた各種教室の休校措置や生徒募集活動の自粛など事業活動の大幅な制限により、市場を縮小させた。一方、対面による指導が制限される中、2020年度から2021年度にかけては通信教育やeラーニングが大きく市場を拡大させた。また、この期間においてはオンライン授業やデジタル教材との併用など、学習手段の多様化が進行した。その後、コロナ禍の沈静化が進むに従い通信教育は失速し、eラーニングもBtoB向けのサービスは堅調に推移しているものの、その急速な市場拡大に落ち着きがみられる。

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2.注目トピック~大手教育事業者が通信制サポート校の開設を活発化

教育産業に従事する事業者の多くは、少子化の進行や競合状況の激化などを受けて厳しい事業環境に晒されており、安定した収益の確保や新たな収益源の獲得に向けて、企業買収や外部事業者との業務提携などによる事業領域やターゲット層の拡大を追求している。
その流れの一環として、近年における通信制高校の生徒数増加(文部科学省「令和6年度学校基本調査(速報値)」によると令和6年度の通信制高校の生徒数は前年度比2万5,144人増の29万118人)を背景に、学研グループや駿台グループ、ベネッセグループなどの大手教育事業者が通信制サポート校※を相次いで開設する動きがみられている。

※通信制高校に通う生徒の学習や精神面での支援を行うために設けられた教育機関

3.将来展望

2024年度の教育産業全体の市場規模(主要15分野計)は、政府の賃上げ促進政策などを背景として、教育への投資回復が一定程度進むものと考え、前年度比1.0%増の2兆8,619億7,000万円を予測する。分野別に内訳をみると、「学習塾・予備校市場」「幼児向け英会話教材市場」「資格取得学校市場」「資格・検定試験市場」「語学スクール・教室市場」「幼児体育指導市場」「企業向け研修サービス市場」「eラーニング市場」の8分野が前年度比プラス成長で推移する見込みである。

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調査要綱
1.調査期間: 2024年7月~9月
2.調査対象: 学習塾、予備校、通信教育事業者、資格取得学校、語学スクール、幼児教室、 体操教室、研修サービス事業者、eラーニング事業者、学習用教材会社、業界団体、管轄省庁等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・FAX・e-mailによるヒアリング、ならびに各種文献調査併用
4.発刊日:2024年9月26日

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情報提供元:Dream News
記事名:「【矢野経済研究所プレスリリース】教育産業市場に関する調査を実施(2024年) 2023年度の教育産業全体の市場規模(主要15分野計)は前年度比0.7%減の2兆8,331億7,000万円