1. 2024年2月期の業績予想
2024年2月期の連結業績予想についてNo.1<3562>は、期初予想を据え置き、売上高を前期比0.5%増の13,373百万円、営業利益を同11.3%増の1,280百万円、経常利益を同11.2%増の1,271百万円、親会社株主に帰属する当期純利益(以下、最終利益)を同16.4%減の762百万円と見込んでおり、中計目標値を達成する見通しとなっている。なお、最終利益が減益となっているのは、アスクル代理店事業の譲渡益のはく落によるものである。
引き続き、情報セキュリティ機器の伸びを見込むとともに、営業体制強化の効果継続により、アクティブユーザー数の拡大や複合販売の推進(顧客単価の向上)、No.1ビジネスサポートの積み上げ等が増収に寄与する。
利益面では、上期において事業拡大に向けた費用が先行したものの、下期での収益の伸び(高付加価値商材の拡充やストック収益の積み上げなど)により営業増益を実現し、営業利益率も9.6%に上昇する見通しとなっている。
2. 弊社の注目点
弊社でも、上期業績(利益面)にはやや出遅れ感があるものの、下期は一過性の先行費用が解消することや、売上高の伸びの実現により、通期予想(及び中計目標値)の達成も十分に視野に入ってくるものと見ている。特に、好調な外部要因(DX化の進展や情報セキュリティ対策への需要増)や内部要因(営業体制の強化やメニューの拡充)をいかに持続的な成長に結び付けていくのかがポイントとなる。注目すべきは、来期以降の成長に向けて、基盤整備をどんな形に仕上げていくのかにある。これまでの中期経営計画の活動を通じて、ビジネスモデルの変革や事業領域の拡大に向けた方向性が次第に見えてきたが、次の中期経営計画においていかに発展させていくのかを探るうえでも重要な判断材料となるだろう。
新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけとしたDXへの急速な流れやビジネスの在り方自体に変革の波が押し寄せるなかで、同社が対象とする中小・零細企業における顧客ニーズにも大きな変化が起きつつあるが、弊社ではこのような環境変化への対応こそがチャレンジャーとして市場開拓を目指す同社にとって、絶好のチャンスになるものと捉えている。したがって、いかにNo.1 ビジネスサポートで顧客を囲い込むとともに、その時々のニーズに対応する商材・サービスを機動的に投入していけるかが、これまで以上に重要な戦略の軸になると考えられる。また、それを支える人的資本への投資(人材育成やモチベーション向上)や外部リソースの活用(業務提携やM&A)がカギを握ることになるため、そういった視点から今後の取り組みを見守る必要がある。それらの要素が一体となって本格稼働してくれば、今期末もしくは来期初頭に発表されるであろう次の中期計画においては同社が数段上のステージに上ることも十分に期待できるであろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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情報提供元:FISCO
記事名:「No.1 Research Memo(7):2024年2月期も増収増益を継続し、中計目標値を達成する見通し」