2024年3月29日
滋賀県
紫式部も愛用した…かもしれない!?
平安時代にルーツをもち
今も滋賀県内で守り継がれる伝統技術 ~1000年以上にわたって伝えられる技と美をご紹介します~
紫式部は石山寺(滋賀県大津市)で「源氏物語」の構想を練ったとされているなど、紫式部とのゆかりの深い滋賀県。滋賀県内には、紫式部が生きた平安時代にルーツをもつさまざまな伝統技術が、現在も息づいています。紫式部も愛用したかもしれない、そんな守り継がれる伝統技術をご紹介します。
■楽器糸
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12工程の手作業で、美しい音色を生み出す絃へ
古くから東西の交通の要衝として人やものが行き交い、産業や文化が発展してきた滋賀県。平安時代から続く伝統技術が今も息づいており、そのひとつが楽器糸です。山からの雪解け水から恵みを受ける長浜市は、古来より養蚕や製糸が行われていたといわれる地域。時を同じくして、楽器糸づくりも始まったとされています。
「丸三ハシモト」は、昔ながらの手作業で邦楽器の絃づくりを行う会社。生糸を仕入れ、合糸を繰り返し、撚りをかけ、餅糊で煮込み、乾燥させて絃が仕上げられます。作業の工程は全部で12あり、中でも職人が糸の端につけられたおもりを回して、糸に撚りをかけていく「独楽撚り」は、代々受け継がれる高度な技術です。手作業で行うことで撚り具合の微妙な調節が可能で、この調節から美しい音色が生まれるといいます。
・丸三ハシモト [所在地]長浜市木之本町木之本1427 [電話]0749-82-2167
■雲平筆(うんぺいふで)
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平安時代と同じ「巻筆(まきふで)」の技法で筆をつくる
三筆といわれる空海・嵯峨天皇・橘逸勢や、三蹟といわれる小野道風・藤原佐理・藤原行成らの能書家が活躍した平安時代。当時の筆は、芯となる毛を和紙で巻き固め、その上にさらに上毛をかける「巻筆」と呼ばれる製法でつくられていました。
雲平筆(うんぺいふで)は、高島市にある攀桂堂(はんけいどう)で、約400 年前から継承されている「巻筆」の製法でつくられる筆。狸毛、羊毛、イタチ毛などを原料に、芯毛を上質の和紙で巻き固め、その上に上毛をかけて麻糸で締めて一本一本手づくりされています。現在、この製法を受け継ぐのは攀桂堂のみ。現在主流となっている筆(水筆の製法)と比べて、力強い筆線が出るのが特徴といわれています。
・攀桂堂 [所在地]高島市安曇川町上小川90-6 [電話]0740-32-0236
■高島扇骨(たかしませんこつ)
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高島市は扇子の骨の生産量、全国シェア90%
扇骨とは扇子の骨の部分のことをさし、高島市の竹製扇骨の生産量は、日本全国のシェア90%以上を誇っています。この地での扇骨づくりの歴史は古く、「都の貴族が隠れ住んで扇子づくりを始めた」や「落武者が生計を立てるために始めた」など、さまざまな説が伝えられています。史実では江戸時代、徳川五代将軍綱吉の頃、市内に流れる安曇川の氾濫を防ぐために植えられた竹を使って、冬の間の農閑期の仕事として始められたと伝えられています。扇骨は両外側の2枚を「親骨」、内側を「仲骨」と呼び、親骨は18工程、仲骨は16工程もの工程があります。製作には、職人から職人へ作業が移る分業が採用されており、ほとんどの工程が手作業。手になじむ、しなやかで艶のある扇骨ができあがります。
・滋賀県扇子工業協同組合 [所在地]高島市安曇川町田中89 [電話]0740-32-1580
■まだまだあります!古来より続く滋賀の伝統技術
●和ろうそく
ウルシ科の植物・櫨(はぜ)の実から搾った櫨蝋(はぜろう)100%の環境負荷の少ない植物性のろうそく。「生蝋手掛け製法(しょうろうてがけせいほう)」の技を持つ職人は、現在、世界に10人ほどです。
・大與 [所在地]高島市今津町住吉2-5-8 [電話]0740-22-0557
●近江上布
滋賀県の湖東地域は、室町時代から続く麻織物の産地。最高級の麻布を「近江上布」といい、徳川将軍にも献上されました。麻は切れやすいため、麻織物の製織は、熟練の技術が欠かせません。
・滋賀県麻織物工業協同組合 [所在地]愛知郡愛荘町愛知川32-2 [電話]0749-42-3246
●木珠(高級木製数珠玉)
聖徳太子によって伝えられたとされる数珠作り。現在も近江八幡の木珠生産量は全国の70%を誇ります。
・カワサキ [所在地]近江八幡市中村町690 [電話]0748-33-5101
●近江雁皮紙(おうみがんぴし)
平安時代の高級紙「雁皮紙」を作る全国でも稀少な工房。原材料の雁皮の樹皮は繊維がとても細かいため、絹のようになめらかで光沢のある紙に。強靭で耐久力が強く、害虫にも強く変色しにくいのが特徴。
・成子紙工房 [所在地]大津市桐生2-14-26 [電話]077-549-0323
●信楽焼
甲賀市信楽町周辺で作られる陶器で「日本六古窯」のひとつ。琵琶湖の400万年前の粘土層からとれた土で、薪窯を用いて高温で焼き締めると、独特の赤い火色と黒褐色の焦げなど自然釉による「けしき」が現れるのが特徴。
・信楽陶器工業協同組合 [所在地]甲賀市信楽町江田985 [電話]0748-82-0831
●神輿
全国の神輿の製造のほか、日本各地の神社仏閣から依頼される文化財の修繕も行っています。
・さかい [所在地]野洲市小篠原7-1 [電話]077-587-1178
■平安時代の文化財を未来へ伝える保存修理技術
●【国選定保存技術】本藍染
藍葉の栽培からはじめ、約120日間水を打って発酵させた「すくも」を搗(つ)いた藍玉を、灰汁とともに藍壺に仕込んで染色する、文化財の修理に欠かせない技術です。
・森義男 [所在地]野洲市小篠原1603 [電話]077-587-0735
●【国選定保存技術】表装建具
屏風や襖貼付など書画の修復の際、表装建具の狂いによる文化財の損傷を起こさない正確な技術が評価。
・黒田工房 臼井浩明 [所在地]大津市伊香立北在地町620-4 [電話]077-575-7433
●彫刻(仏像)修理
仏像や狛犬などの彫刻文化財を、伝統技法により修理する専門工房。
・楽浪文化財修理所 [所在地]大津市平津 1-20-3 [電話]077-534-1673
●【国選定】絵画、古文書等修理
材料にこだわり、紙や絹でできた絵画や古文書など国宝や重要文化財の修理を手がける専門工房。
・坂田墨珠堂 [所在地]大津市小野1144-1 [電話]077-594-3447
情報提供元:PRワイヤー
記事名:「紫式部も愛用した…かもしれない!? 平安時代にルーツをもち 今も滋賀県内で守り継がれる伝統技術」