気象庁の寒候期予報によると、この冬の降雪量は平年並みかそれ以上と予想されております。大雪の際には強い味方となる除雪機。誤った使い方をすると命を落とす事故が発生する危険があることから、冬が迫ったこの時期に、除雪機を安全に使うためのポイントをお知らせします 。

 

 

1.概要
 2014年度から2023年度までの10年間に独立行政法人製品評価技術基盤機構[NITE(ナイト)、理事長:長谷川 史彦、本所:東京都渋谷区西原]に通知された製品事故情報 うち、歩行型除雪機(以下、除雪機)による死傷事故は38件ありました。除雪機の事故は被害状況別では死亡事故が25件と最も多くなっており、事故原因のうち約8割に当たる32件が、除雪機の安全機能を無効化したり、使わなかったりするなど、誤使用・不注意による事故です。
 この冬は降雪量が平年並みかそれ以上と気象庁から予報が出ており、除雪機が活躍する機会が多くなると考えられます。除雪機の使用には事故を招く5つのNG行動があり、今回はそれらを事故事例とともに御紹介します。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411220433-O11-2xG0Mq1m

 

 

2.除雪機事故を招く5つのNG行動と事故事例
 除雪機は、その大きくて重量がある機体を動かすために、パワーのあるエンジンを搭載していることから、車や重機と同じくその取扱いには細心の注意が必要です。除雪機の使用には5つのNG行動があり、実際にそれらの行動が原因で事故が発生しています。

NG行動①:安全機能を無効化する → 除雪機の下敷きになった事故 

【事故発生年月】2021年1月(広島県、80歳代男性、死亡)
【事故の内容】           
 使用中の除雪機の下敷きになり、死亡した。
【事故の原因】
 使用者がデッドマンクラッチ機構を大きな洗濯バサミで固定して安全機能を無効化したため、除雪機を後進中に転倒した際に、手を離しても除雪機の走行が停止せず、使用者に乗り上げて下敷きとなったものと考えられる。
 
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411220433-O10-166Q9BvN
除雪機の下敷きになった様子(イメージ)

NG行動② & NG行動③ :
電源がONのまま離れる/人がいるのに使用する → 除雪機に巻き込まれた事故

【事故発生年月】2021年1月(新潟県、9歳男児、死亡)
【事故の内容】
 除雪機を使用中、こどもがオーガ(回転部)に巻き込まれ、死亡した。
【事故の原因】
 除雪作業の途中、使用者が除雪機のエンジンを切らずにオーガが回転したままその場を離れたため、周囲で遊んでいたこどもがオーガに接触したものと考えられる。

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除雪機の近くでこどもが遊んでいる様子(イメージ)

NG行動④:手をつっこんで雪をとる → 除雪機内部に手を入れて負傷した事故

【事故発生年月】2022年12月(秋田県、50歳代女性、重傷)
【事故の内容】
 除雪機のブロワ(投雪口)に詰まった雪を取り除く際に、左手指を負傷した。
【事故の原因】
 使用者がエンジンを掛けたまま、付属の雪かき棒を使用せずに直接手で除去したため、回転部に触れ、事故に至ったものと考えられる。

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雪かき棒を使用せず、直接手で詰まった雪を取り除こうとする様子(イメージ)

NG行動⑤:屋内で使用する → 一酸化炭素中毒になった事故

【事故発生年月】 2023年1月(北海道、80歳代男性、死亡)
【事故の内容】
 物置で除雪機のエンジンを掛けたままにして、一酸化炭素中毒で1名が死亡した。
【事故の原因】
 使用者が十分に換気されていない屋内で除雪機を使用したため、排気ガスにより屋内の一酸化炭素濃度が上昇し、一酸化炭素中毒に至ったものと考えられる。

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換気されていない屋内で除雪機のエンジンを掛けたままにして 
一酸化炭素中毒になった様子(イメージ)

 

 

3.除雪機の事故発生状況
 2014年度から2023年度までの10年間にNITEに通知された除雪機の使用による死傷事故38件について、被害状況別の内訳等を以下に示します。

3-1 被害状況別・原因区分別の内訳
 図1に「被害状況別の事故発生件数」を、図2に「原因区分別の事故発生件数」を示します。除雪機の事故は被害状況別では死亡事故が25件と最も多くなっています(図1)。また、事故原因のうち約8割にあたる32件が安全機能の無効化や周囲の確認不足などの誤使用・不注意であり(図2)、その内訳は死亡事故21件、重傷事故10件、軽傷事故1件となっています。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411220433-O5-2LjzJE5D

3-2 事故事象別の内訳
 表に「事故事象別の事故発生件数」を示します。死亡事故は「除雪機の下敷きになった」、「除雪機に巻き込まれた」の2つの事象で多く発生し、重傷事故は「エンジンを掛けたままの除雪機内部に手を入れた」事象で多く発生しています。
 また、38件中26件(死亡事故18件、重傷事故8件)が安全機能を無効化したり、使わなかったりして事故に至っています。
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4.気を付けるポイント

○安全機能は絶対に無効化しない。【NG行動①】
 デッドマンクラッチ機構のクラッチレバーを固定するなどの安全機能の無効化をすると、使用者が転倒などした際に除雪機が停止せず、除雪機にひかれたり、巻き込まれたりするおそれがあります。安全機能を無効化せずに正しく使用するようにしましょう。 

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○エンジンを掛けたまま離れない。【NG行動②】
 除雪機のエンジンを掛けたままその場を離れると、こどもが近づいて触れるなどし、思わぬ事故につながるおそれがあります。一時的にその場を離れるときでも、必ずエンジンを切ってください。
 
○人が近くにいる時は使用しない。障害物に衝突しないよう注意する。
 【NG行動③】
 除雪作業をする際は、周囲に人がいないことを確認しましょう。特に背丈の低いこどもは死角に入りやすいので、十分気を付けてください。また、後進する際は、足下や後方の障害物を事前に確認し、転倒することがないよう気を付けてください。

○雪詰まりを取り除く際はエンジンを切り、雪かき棒を使用する。【NG行動④】
 エンジンを掛けたまま雪を取り除く作業を行うと、手を負傷するおそれがあります。雪が詰まった場合は、エンジン及び回転部の停止を確認し、直接手で行わず、必ず備え付けの雪かき棒を使用して取り除いてください。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411220433-O8-33E7McKb
 
○屋内や換気の悪い場所ではエンジンを掛けたままにしない。【NG行動⑤】
 作動中の除雪機の排気には一酸化炭素が多く含まれています。一酸化炭素は無色・無臭で、発生に気が付きにくく、また非常に毒性の強い気体です。閉め切った屋内で除雪機のエンジンを掛けたままにすると、短時間で一酸化炭素の濃度が高くなり非常に危険です。除雪機は始動/停止も含め風通しの良い屋外で使用しましょう。エンジンを切った状態で、手で押して移動できない大型の除雪機等の場合は、窓などの開口部を開放して十分な換気が取れていることを確認してから、「屋内で始動し速やかに屋外に出る」、「屋内にしまったら速やかにエンジンを切る」などの対策をしてください。

情報提供元:PRワイヤー
記事名:「【NITE/経済産業省/消費者庁】「除雪機の事故」を招く5つのNG 行動~安全機能の無効化は絶対やめて~