
3月16日(木)、日本気象協会は「2023年桜開花予想(第5回)」を発表しました。今年は桜の開花・満開ともに記録的に早くなる可能性があり、富山や新潟では統計開始以来最早となる可能性が出てきました。
●桜「開花」予想 富山が北陸トップ 統計開始以来最早か
桜の開花予想日は、富山が3月22日で、北陸の予測地点では最も早い開花となるでしょう。富山のこれまでの最も早い開花は2021年の3月24日ですので、統計開始以来最早となる可能性が高まってきています。また、高岡古城公園も3月25日で、これまでの最も早い記録(2021年3月26日)を更新する可能性があります。新潟でも3月29日で、2021年に観測された統計開始以来最早に並ぶ予想です。
その他、福井の3月23日、金沢の3月24日、高田城址公園の3月28日、輪島の3月29日は、いずれも統計開始以来2番目に早い予想で、記録的に早い傾向となるでしょう。
●桜「満開」予想 気温の高い日が続き、開花から満開も短く 統計開始以来最早を更新する所も
桜の満開予想日は、富山が予測地点の中ではトップで3月26日となっています。これは、平年より13日も早く、統計開始以来最も早い満開となった2021年3月28日の記録を更新するでしょう。その後、福井・金沢が3月28日で、金沢でも統計開始以来最も早い満開となる可能性があります。高岡古城公園が3月29日、高田城址公園が4月2日、新潟が4月3日と、いずれも満開も記録的な早さとなる見込みです。
●桜の開花・満開が記録的に早い理由は?
今年は桜が早く咲く条件が揃っていると言えます。その理由を見ていきましょう。
①:休眠打破は順調・・・この冬(12月~2月)は、12月後半や1月下旬など、強い寒気が流れ込んだ時期があり、厳しい寒さの日もあったため、桜の花芽の休眠打破※は順調に行われたとみられます。
②:3月の気温が記録的に高い・・・3月に入ってから、最高気温が20度を超える日も出てくるなど、気温の高い日が続いています。3月上旬の北陸地方の平均気温の偏差(平年からの隔たり)は、+3.3度で、観測史上最も高くなりました。中旬になっても気温の高い傾向が続いており、12日はフェーン現象で各地で気温が上がり、最高気温は富山・金沢で23.9度と、いずれも5月下旬並みの「汗ばむ陽気」となるなど、顕著に気温の高い状態が続いています。
③:この先も気温の高い日が多い・・・この先も、気温の高い日が多い予想で、桜の花芽は順調に成長するでしょう。
18日~19日に一時的な寒の戻りがありそうですが、寒気レベルは弱く、桜の花芽の成長に大きな影響はなさそうです。
20日~22日頃は、高気圧が東の海上へ移動し、北陸地方は南から暖かい空気が流れ込みゃすいでしょう。西から前線が本州南岸に延びてくる予想ではありますが、等圧線の走行は南北に立っており、冬型と真逆の「東高西低」となるため、北陸地方では南寄りの風となりやすく、場合によっては「フェーン現象」で気温が上がる可能性があります。この期間で花芽は一気に成長するでしょう。富山は2月以降、他の地点と比べて雪雲の影響を受けにくく、気温が高めに推移していたこともあり、このタイミングで開花に至る可能性が高いでしょう。
23日以降も多少気温が下がる程度で、平年より気温の高い状態が続くため、金沢や福井でも順次開花していく見込みです。
その後も4月のはじめまでは気温の高い状態が続き、桜の開花前線は一気に北上。新潟でも3月29日には開花し、統計開始以来の最早に並ぶ可能性があります。また、気温が高いことで開花から満開までの期間も短く、富山・金沢では統計開始以来最早の満開となる可能性があります。
冬にしっかりとした寒さの期間があって、3月に高温になるのは、桜の成長にとっては絶好の好条件となり、記録的な早さの開花・満開となるでしょう。また、予測地点以外の桜の名所も記録的に早い開花・満開となることが見込まれます。今年のお花見は早めの計画をお勧めします。
※休眠打破:前年の夏に形成され休眠に入った花芽が、冬になり一定期間の低温にさらされて目覚めること