猛暑日とは日最高気温が35℃以上になった日のことを言います。2007年から気象庁で使われるようになった言葉で、夏日や真夏日と比べると、比較的新しく制定された用語です。

この記事では、猛暑日の定義・年間日数や連続日数などの各種記録に加え、猛暑日増加の一因と考えられる「気温観測の統計方法の変更」について学ぶことができます。


猛暑日とは?

猛暑日とは日最高気温が35℃以上になった日のことを言います。2007年から気象庁で使われるようになった言葉で、夏日や真夏日と比べると、比較的新しく制定された用語です。


猛暑日は毎年いつごろから出始める?

その年その年によって変動が大きく、一概には言えませんが、ここ10年程の「全国初の猛暑日」記録を遡ってみると、5月下旬~7月上旬に全国初の猛暑日を記録する傾向にあるようです。またその地点も南は大分から、北は北海道までと、日本全国幅広い地域で、その年全国初の猛暑日を記録する可能性があるようです。
2023年は、5月17日に岐阜県揖斐川町で35.1℃を記録し、全国初の猛暑日となりました。揖斐川の観測史上最高気温は39.6℃で、40℃に達したことはありませんが、毎年夏になると、たびたびその日の全国最高気温を観測することがあり、日本でも屈指の暑さを誇る町といえるでしょう。


猛暑日の最多・最長記録は?

地点毎の年間猛暑日日数は、2000年以降の東京を例に見てみると、年間約6日ほどですが、2010年以降で見てみると、年間約8日、さらに、2022年単体でみると、年間16日となっており、増加傾向がうかがえます。また、地域や年による変動も大きく、30日以上に達する地点も出てきます。
これまで最も年間猛暑日数が多かったのは大分県日田市の「45日」(1992年)で、連続猛暑日日数は岡山県高梁市の「24日間連続」(2021年8月9日~9月1日)です。
また、日毎の猛暑日地点数を見てみると、全国約900ある気温観測点のうち、特に暑い日は猛暑日を記録する地点が200を超えることもあります。
2023年は、8月4日に猛暑日地点数が290を数え、過去最も多かった2013年8月10日,11日の296地点,294地点に次ぐ記録となっています。


猛暑日が増えている原因の一つ「気温観測の統計方法変更」

近年、猛暑日の観測回数が全国的に増加しています。その原因には諸説ありますが、ここでは気象観測の観点から「気温観測の統計方法変更」について紹介します。

アメダス観測点(※)において、これまで最高気温の観測は、2000年代に入るまで、毎正時の1時間毎の観測値からその最高値を最高気温として記録していました。つまり、13時30分や13時45分に40℃に達していたとしても、13時ちょうど、14時ちょうどに40℃に達していなければ、最高気温が40℃に達した、と認められなかったのです。しかし、2000年代に入って以降、徐々にこの「1時間毎の観測値から採用」が「10分毎の観測値」、さらには「10秒毎の観測値(※)」へと、統計方法が変わり、より短い間隔での値を採用するようになりました。

ここで、1994年8月5日に40.7℃を記録しつつも、正式記録とならなかった愛知県愛西市のアメダス「愛西」の例を見てましょう。

この「40.7℃」という記録は「10分毎の観測値」からの最高気温で、13時10分に観測された値です。一方で、1時間毎の最高値は13時ちょうどの「40.3℃」で、この日の最高気温はこの「40.3℃」が採用されています。
つまり、この愛西市の40.7℃という記録は「幻」となってしまったのです。なお、「10秒毎の観測値」が採用されている現在に置き換えると、この日の愛西市ては、40.7℃超の気温が観測されていた可能性が十二分にあり、現在の国内最高気温である41.1℃ですら超えていた可能性も十分考えられます。

近年、猛暑日数の増加や最高気温記録の更新が相次ぐのは、この「アメダス観測値の統計方法の変更」によって、「より細かな観測値を採用し始めた」も大きな影響を与えています。

※ 観測にはアメダスによる観測と、気象官署での観測の2種類があり、アメダスの気温観測地点数は2023年8月現在約750地点、気象官署は約150地点です。
※ 気象官署とアメダス観測点とで観測手法が異なります。気象官署では1秒毎の観測値を10秒毎に平均化した値の最大値を、アメダスでは10秒毎の観測値の最大値を採用しています。

[出典]
気象庁|気温の統計方法
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/mdrr/man/sampling.html
気象庁|アメダス観測所の観測内容等の変更
https://www.jma.go.jp/jma/press/0803/07b/amedas080306.html


猛暑日のさらに上の階級は?

猛暑日より上の階級を表す言葉として、気象庁から正式に発表された言葉はありません。
ただ、日本気象協会では近年の暑さを鑑み、最高気温が40℃以上と予想される日を「酷暑日」とし、暑さへの注意喚起を呼びかけています。

2023年は、8月5日に福島県伊達市梁川で40.0℃の「酷暑日」を観測し、2018年以降の日本では、6年連続で酷暑日を観測する結果となっています。


まとめ

猛暑日とは日最高気温が35℃以上になった日のことを指します。この記事では猛暑日に関する知識や記録などを解説しています。
猛暑日は年々増加傾向にありますが、その一因として「気温観測の統計方法変更」があることを知っておくと、後々役に立つことがあるかもしれません。