2月といえば、先ずやってくるのが「立春」です。春が立つとは、いったいどういうことなのでしょう。江戸時代に作られた暦の解説書『暦便覧』によると「春の気立つをもってなり」とあり、立ちのぼってくる春の気配を感じ取ることのようです。暦の上で春とはいえ実際は、更に衣を重ねて着たくなる寒い日が続きます。2月の異称を「衣更着(きさらぎ)」というゆえんでしょう。寒さももう少しの辛抱です。さあ、春の気配をさがして第一歩を踏み出しましょう。


春は東からやってくる!?

日本では古くから春は東からやってくる、と思われていましたので春を連れてくる「東風」を「こち」と呼んでいました。そこで思い出されるのが有名な菅原道真の歌です。

≪東風吹かば にほひおこせよ梅の花 主なしとて春な忘れそ≫

失意の中に大宰府に旅立った道真の風流な心は、多くの人の心に響き口ずさまれてきました。寒さの中に凛として咲く梅の花が浮かびあがってくる歌です。東風を待って咲く梅は別名「風待草」とも呼ばれます。冬の厳しさに耐え寒さの中でも香りをはなって咲く、その力強さも美しさのひとつといえるのではないでしょうか。梅が告げる春に感じるのはなんといっても明るさです。

《春立つや誰も人よりさきへ起き》 上島鬼貫

春と聞いてなにやら湧いてくるワクワク感に張りきる姿を感じる句です。旧暦では立春過ぎの2月8日を「事始め」として、一年の農事を始める日とされていました。また2月の最初の午の日は「初午」稲荷神社のお祭りです。今年の豊作や商売繁盛、開運、家内安全などを祈願します。

「立春」は寒さの中でも私たちを新しい季節へと連れ出してくれる、春が生まれる日ともいえましょう。

宝登山ロウバイ園

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一目みれば寿命が延びる「星」がある!?

冬の空で一番明るい星は、冬の大三角を作るおおいぬ座のα星シリウス。では二番目に明るい星をご存じですか? それは竜骨座のα星カノープスです。あまり聞かない星の名前かもしれません。それもそのはず、平地での北限は、計算上北緯約37.9度なので、日本では福島県北端より北のエリアでは観測するのが難しいのです。そこで見えたら寿命も延びるほどの幸運に恵まれる、ということで中国では「寿星(じゅせい)」の名がつけられました。

東京がおおよそ北緯35度ですので、東京より南へ行けばより見えやすくなります。2月は20時~21時頃、南の空に冬の大三角が現れる頃が「寿星」カノープスを探すチャンスです。
オリオン座のペテルギウスとこいぬ座のプロキオンを結ぶ線の中心から、シリウスへ真っすぐに線を下ろし、さらに地平線に向かって延ばして下さい。ひときわ輝く星が見えたらカノープスです。

地平線や水平線近くに光輝く星を見て、昔の人は命が湧いてくるように感じたのかもしれません。春の星空がめぐってくる迄にはもう少し間があります。開けた場所で南の空に明るいシリウスが目に入ってきたならば、スーッと視線を下におろして「寿星」カノープスを探してみて下さい。もし、見つけることができたら、それはそれは嬉しい瞬間になりますね。

参考:
学研の図鑑LIVE『星と星座』

《熊本県》平野台高原展望所から冬の大三角形とカノープスと阿蘇五岳

《熊本県》平野台高原展望所から冬の大三角形とカノープスと阿蘇五岳


「バレンタインデー」恋の風にも新しい風が!?

2月のイベントとしてすっかり定着した「バレンタインデー」はれっきとした春の季語になっています。

≪バレンタインデー愛のかけらを貰ひけり≫ 安居正浩

恋、というよりなにかほのぼのとした愛の交歓を感じます。こんなバレンタインデーも悪くない、と呟きたくなります。

近年は愛や恋を語るバレンタインデーよりも、チョコレートが主役になってきたように思いませんか? 2月に入る前から美味しいチョコレートの情報が飛び交い、バレンタインデーをターゲットに新たな美味しさを求めてチョコレート菓子が次々と作られるようになりました。チョコレート専門の菓子職人を意味するショコラティエも、いつの間にかパティシエと並んで、ごくあたりまえに人々の口にのぼるようになり、その勢いを感じます。

デパートの特設会場でチョコレート専門店を結集したイベント、サロン・ド・ショコラの熱気ある賑わいを目の当たりにしたとき、味わいきれないチョコレートを楽しそうにまた真剣に選ぶ人々の姿に、バレンタインデーはチョコレートの日となってすっかり日本人の文化に定着したのだな、と感じました。

バレンタインデーは美味しいチョコをよすがに熱い思いを伝える伝統も変わらず素敵ですが、頑張っている自分に年に一度ご褒美チョコと称して自らのモチベーションアップを図ったり、友達同士で美味しいチョコを味わう中から新たなビジネスチャンスが芽生えるバレンタインデーも、もはや普通のことになっています。
チョコレートを中心に発達したバレンタインデーに吹く新しい風、これからもさまざまな分野で大きく広がっていくのを見守っていきたいと思いませんか。

まだまだ寒さが続く2月ですが一日一日を丁寧に重ねていくと、遠いと思っていた春の気配にふと気づくことができそうです。