はじめに
宜蘭・蘇澳の新名所として知名度が上昇中の「TAXI Museum計程車博物館」。タクシーをテーマとした博物館としては世界初、そして唯一無二の存在として話題です。館長の趣味が高じ、2019年の7月にオープン。その後も、さらなるアイテムの収集と新たな展示が続いているだけでなく、アミューズメント施設も続々と新設中。訪れるたびに新しい発見があり、大人も子どもも、何度行っても楽しめると好評です。タクシーにただならぬ縁を感じてマニアとなった、李濟成氏が開館。
展示アイテムは2000以上、ストーリーある数多のタクシーを擁する「TAXI Museum計程車博物館」は、世界で唯一のタクシー博物館。館長を務めるのは、李濟成氏。中国語のタクシーを意味する“計程”と自身の名前の読みが同じであるほか、タクシーへの縁を感じる出来事が続き、関連グッズを集めるようになったという人物です。展示されているのは、アンティークの自動車、人力三輪車、バイク、周辺グッズや模型、おもちゃやアートなど、多岐に渡ります。タクシーは“都市の名刺”。土地土地の文化に触れられる展示が多数。
コレクションをただ所有するだけでなく、多くの人々にシェアしたい。なぜなら、タクシーは“都市の名刺”であり、旅行中のパートナーでもあり、博物館に展示されるべきひとつの文化。博物館を作ってその文化を紹介すれば、タクシー運転手へのイメージも変わっていくのでは…そんな思いで私財を投じ、オープンにこぎつけました。タクシーを通じて世界の民族風習について学んだり、タクシーの進化と発展の歴史を見たり。その時代ならではの美しい物語を追体験できる博物館が誕生したのです。ポップな色使いとレトロなフォルムが映える、アンティークの車両たち。
フォトジェニックなスポットとして人気なのは、15台ものアンティーク・タクシーが並ぶコーナー。車齢の合計は500歳以上にもなるそう。最古参は1957年のドイツ・ベルリンのメルセデスベンツ180とW 123。1972年のアメリカのNYを走っていたクラシカルなチェッカー・マラソン、いわゆるイエローキャブは、タクシーのシンボルといえる一台です。ほかにもイギリス・ロンドンで活躍した1967年のオースティンFX4、1988年のフランス・パリのタクシー・プジョー505などが並んでいます。 迷彩色のウィリス・ジープCJ2Aは“戦場のジープ”。第二次世界大戦中、アメリカ兵はジープを戦場のタクシーとして使用していたという1947年のもの。米軍といえば、フィリピンで市民の足として親しまれている乗合いタクシーのジープニー。駐留軍払い下げのジープを改造して作られたのがはじまりと言われています。 そして、香港の映画でよく見られる2001年製のトヨタ・クラウン・コンフォート。興味深いのは、走行可能な地域によって車体の色が異なる点。ほとんどの地区を走ることができる赤色、新界地区を走る緑色、ランタオ島を走る青色があり、館長はこの3色すべてを所有する猛者ぶりを発揮しています。国産車のユーロンは、台湾のタクシー界の発展に寄与した大ベテラン。1980年製の勝利803は、屏東に住むオーナーが40年間、乗ったもの。また、1988年製の速利303は、小さな造花入りボールをつけた、時代感あるギアレバーがポイントです。
日本の昭和時代を代表する1962年製の5人乗りダットサン・ブルーバードP312は、館主の修復によって、今でも公道を走ることができるというから驚きです。
一方、最もダメージを受けているのは、2015年のトランスアジア航空の墜落事故に関するタクシー。基隆河に落ちる直前、機体が高速道路を走行中のタクシーに接触して車体は大破。悲しい歴史の目撃者というべき車両が安置されています。
また、館外にたたずむ2002年製の日産セフィーロは、オーナーだった張阿朝氏が2020年に亡くなった後、彼を偲んで家族が博物館への寄付を決めたという一台。涙を誘うストーリーがあるタクシーです。
タクシーとして走るのは自動車とは限りません。館主はインドネシアの古い人力車をも収蔵。バイクでは、初期のKYMCO光陽新生代とYAMAHA凌風90を展示。
無数に並ぶミニカー、回転寿司方式で回るミニカーにキッズ大興奮!
また、マッチボックスをはじめとした各国のミニカーを回転寿司のレーンに載せて見せる “回るミニカー展示”も好評。展示アイテムは今も着々と増え続けています。そのほか、タクシー上部についている社名表示灯、料金メーターといった周辺アイテムも多数。これは、タクシーらしさの要となる象徴的アイテムも、もれなく見てもらいたいという館長の願いゆえ。最も古いアイテムは、インドの1920年の機械式メーター。また、台湾の初期のタクシーにつけられていた往路、復路、待機料金が計算できる機械式メーターは、今ではこの博物館でしか見られないレアアイテムです。
運良く館長に出会えたなら、マニアックな解説を聞くことも。
他の展示コーナーも、日本、イギリス、アメリカ、中国などからやってきた、ありとあらゆるアイテムが並んでいて、好奇心が掻き立てられるだけでなく、館長のコレクション熱に感銘を受けずにはいられません。幸運にも館長がいるタイミングで来館できたなら、各コレクションについての詳しい説明を聞くこともでき、より価値のある訪問となることでしょう。プレイスペースも充実。隅々まで楽しむには、余裕をもって来館を。
「TAXI Museum計程車博物館」は、単なる博物館ではありません。遊園地としての施設も充実していて、館内には、スライダー、三輪車、バンパーカー、コイン式電動車などで遊べるほか、軽食&ドリンク、関連グッズの購入も可能。半日以上の余裕をもって回ることをおすすめします。 入館チケット(200元)は、ペーバークラフト仕様。タクシーを組み立てて遊べるほか、バンパーカー体験、ドリンク引換券、50元の割引券が付属するお得なシステム。3歳以下は入館無料です。おわりに
館長によると、近く、タクシーモチーフの黄色いメリーゴーランドを増設する予定とのこと。屋外映画館に続き、大型バスのレストランがまもなくオープンするなど、訪れるたびに楽しみが増す「TAXI Museum計程車博物館」。斬新で興味深く、知識の幅も広がる空間を一巡した後には、館主の熱量に圧倒され、拍手を送らずにはいられない…そんな博物館がここにあります。◆TAXI Museum計程車博物館
住所:宜蘭縣蘇澳鎮中山路二段162巷2號
電話:+886-3-990-8088
情報提供元:旅色プラス
記事名:「【台湾情報】宜蘭の新名所!館長の愛と情熱に満ちた世界唯一のタクシー博物館が話題」